??株UP??: 決算公告の読み方 いろは 
                                     (日経:6/26  より) 

     経済概況 と 新制度        企業判断の手掛かり        簡単な計算式による企業判断
                                    

      リストラと米中市場で景況改善    連結決算書の公告が望まれる    主な経営指標と計算式
      特別損失が なお本業を圧迫     財務諸表で企業の価値判断     経営指標と判断基準
      会計監査が厳格になり倒産増     企業判断の手掛かり・ポイント  以上 金児昭 早稲田大学客員教授の記事

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  経 済 概 況 と 新 制 度 

■リストラと中国市場で景況大底脱出??? :
   株が上がりだした・・・・・・・・・・・・・・・このまま続くかは 疑問はあるが 株主総会の時宜もあり 企業業績の見方を特集
      大底脱出の感? 要因・・・・・・(1) 2003年3月期 上場企業の業績急回復 (人員削減・不採算部門切捨成果)
          
                (2) 海外好調(北米・中国) ・ 国内の不振をカバー ・ 中国への拡大基調は続きそう
      輸出企業中心に景況改善・・・・日銀6月短観(企業短期経済観測調査)によると 2期ぶりに改善: 7/1発表 ・ 株UP
                          電気機械・自動車の改善が目立つ ・ 紙パルプ・石油製品などの素材関係も改善
                             ただし、9月までの先行きは 円高想定で大企業・製造業はマイナスと横ばい
                             2003年度の企業収益は引き続き改善傾向にあるものの 2002年度よりは縮小気味



   然し、国内は一向に上向感なし・・・(1) 出口の見えないデフレによって 販売価格の下落傾向が続いている
                         (2) 国内の不振をリストラと外需でカバーしたが リストラ効果は一巡、成長は鈍化へ
■特別損失が なお本業を圧迫 :
   特別損失とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・リストラに伴う企業の臨時損失。不採算部門の売却や人員削減などによる
                          評価損・割り増し退職金など。 損益計算書には特別損失として計上される。 
   株式評価損35%減(1.7兆円)・・・・企業は保有株式の株価が簿価を5割以上、下回った分を 損失計上しなければならない
                             2002年3月期 新制度:持ち合い株式への時価評価が本格的に適用され
                             (損失隠蔽防止のため) この新制度のため 簿価を切り下げた企業が多かった
                             にも拘わらず 4大銀行グループなどは 簿価が高く直撃を受けた
   年金関係は22%増(1.1兆円)・・・・退職給付の債務の積み立て不足を一括処理 特別損失計上の企業多い
                            その他 建設や不動産の企業では 固定資産の評価損が響いた
                            (大手など 不良資産処理のできる企業はよいが 中小企業は苦しい・・・参照
■会計監査が厳格になり倒産増 :
   税効果会計厳格化/2003年・・・・繰り延べ税金資産 や 保有不動産の評価が 厳しくチェックされるようになった
                            収益計画の甘さで問題になった りそなグループ・米国エンロンは その代表事



  企業判断の手掛かり 

■連結決算書の公告が望まれる :
   企業の決算公告は2つ・・・・・・・会社の期末の財政状態を表す 貸借対照表 (Balance Sheet B/S)
                         1年間の経営成績を表す 損益計算書 (Profit&Loss Statement P/L)
   親会社は連結決算の開示要・・・その開示は任意であるが 利害関係者(ステークホールダー)は
                            グループ経営に注目する
                            ステークホールダーは 株主にとどまらず、一般投資家・一般社会・顧客・仕入先
                            債権者・従業員など すべてであり 全体へ向けての情報開示が欲しい

   情報開示に必要な3条件・・・・・・正確さ ・ 迅速さ ・ 誠実さ
                            迅速さにおいてよい決算短信(3月期決算を4〜5月に発表)があるが正確さに懸念
                            公認会計士と監査役の監査役の監査の終わってないものがある
■財務諸表で企業の価値判断ができる :
   決算公告の見方(金児教授)・・・@社名・社長名・会社の住所・株主総会の終了日を一覧
                           A第何決算期の公告であるかをみる ・ 古い会社か新しい会社かを判断
   期末の財政状態をB/Sで・・・・・Bその中の資本の部には 資本金・資本剰余金・利益剰余金などがあるが
                           それに加えて 近年、時価会計を適用した株式等評価差額金・自己株式がある
                           どれだけそれらを保有しているか(損金処理していないが損金がある) を確認する

   年間成績をP/Lで確認・・・・・・・CP/Lは営業年度1年間の営業収益・営業費用・その他損益を記載しているが
                            その見方は
                             ・ 売上高・最終当期損益に注目
                             ・ 諸損益・諸税額をみる
                          D繰り延べ税金資産と将来の企業収益内容を検証する
■企業判断の手掛かり・ポイント :
   まずは最終損益・利益剰余金・・・・・P/Lで最終損益をみる 次に B/Sの資本の部利益剰余金があるか
                           利益剰余金の中の任意積立金・当期未処分利益がほとんど無ければ過去の
                           税引き後利益の蓄積が非常に少なく 経営は厳しいと推測できる (新会社は別)

   一株あたりの利益・・・・・・・・・・・・・・・決算書の注記に 一株あたりの当期利益が記載される
                            20円以上であれば良好 ・ 50円を超えれば優良といってよい

   4月〜6月の状況も重要・・・・・・・決算期後の4月から株主総会の6月までに何かことがおこればを 念頭にしてみる
                           1期前・2期前の決算公告と 現状の1年3ヶ月を合わせて 分析すること


  簡単な計算式による企業の総合判断 

                          この後の分析には、簡単な計算が必要になる
                           その計算式と それぞれにおける 判断基準を下表に示す

■主な経営指標 と 計算式 :
.         
記載先 指標 計算式
B/S P/L (1) 売掛債権の回収日数(日) =(売掛金+受取手形)/(営業収益「売上高」÷365)
B/S P/L (2) 棚卸資産の手持日数(日) =(棚卸資産)/(営業収益「売上高」÷365)
B/S (3) 流動比率(%) =(流動資産/流動負債)×100
B/S (4) 固定長期適合率(%) =(固定資産/(自己資本+固定負債))×100
B/S (5) 固定比率(%) =(固定資産/自己資本(株主資本))×100
    P/L (7) 売上高営業利益率(%) =(営業利益/売上高)×100
    P/L (8) 売上高経常利益率(%) =(経常利益/売上高)×100
    P/L (9) 売上高当期利益率(%) =(当期利益/売上高)×100
B/S (10) 株主資本(自己資本)比率(%) =(株主資本/総資産)×100
B/S P/L (11) 株主資本当期利益率
     ROE(%)
=(当期利益/株主資本)×100
B/S (12) 有価固定資産の
     減価償却進捗率(%)
=(有価固定資産の減価償却累計額/(有形固定資産
  +有形固定資産の減価償却累計額)×100
■経営指標と判断基準(金児教授談) :

.         
指標 判断基準(例:金児教授談)
(1) 売掛債権の回収日数(日) 何日分の売上げ債権が未回収かが分かる ・ 通常は100日前後
(2) 棚卸資産の手持日数(日) 棚卸資産在庫の金額が何日分の売上になるか ・ 通常は30日前後
(3) 流動比率(%) 200%前後であれば優良 ・ 100%を超えていれば一応良好
(4) 固定長期適合率(%) 100%以下であれば会社に溜っているお金で固定資産を賄っている良好
(5) 固定比率(%) 100%以下であれば、自己資本で固定資産を賄っているので 優良
(7) 売上高営業利益率(%) 経常利益率に合わせみておく
(8) 売上高経常利益率(%) 10%あれば 現在の経済状況下であれば優良
(9) 売上高当期利益率(%) 経常利益率に合わせみておく
(10) 株主資本(自己資本)比率(%) 国際的業務を行う銀行は8%以上、国内業務のみは4%以上と規定だが
  一般の事業企業であれば 30〜50%が良好水準
 ・ 50%以上優良
(11) 株主資本当期利益率
     ROE(%)
10%以上であれば優良 ・ 5〜10%で良好
(12) 有価固定資産の
     減価償却進捗率(%)
進捗率が小さい会社は 体力が小さいということになるが
  50%以上あれば良好水準