京都議定書と環境ビジネス・家庭での環境対策 
        
                     (日本経済新聞 朝日新聞 より)

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環境悪化の現状 京都議定書 企業・家庭における環境対策
温暖化が進めば
気候危機フォーラム
世界の現状・写真集ほか
 . 議定書の内容
先進国の状況
国内外推進情報
 . 新エネルギー開発が加速
省エネビジネスが活況
ESCO推進・家庭での対処ほか
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  環境悪化の現状 
■温暖化が進めば :   (日本経済新聞 2月12日より)      
世界各地で異常気象頻発・・・・・・ 現在もう既に、異常気象の被害が出始めた ・ 昨年には米国で大型ハリケーンが多数上陸、日本でも真夏日記録更新し、過去最多の10個の台風が上陸した ・ 欧州では2003年夏に記録的な熱波に襲われ多数の死者がでた
小島の国が水没の危機・・・・・・・・・ 従来から心配されていたこと ・ 地球温暖化によって島しょ国が水没の危機にさらされ、感染症の地域が拡大する ・ 途上国を中心に被害が広がるの認識が多かった ・ しかしそれだけでなく
真夏日が100日を超える・・・・・・・・ このまま温暖化が進むと、2100年頃には、日本付近での年平均降水量は約20%増加、真夏日が100日を超えるという 
■気候の危機フォーラム :  気候の変化を敏感に感じる人々参集による、温暖化について考えるフォーラムが、議定書発行の2月16日に立上がった  (朝日新聞 2月16日より)  
   自分の問題として考えよう・・・ 湘南海岸でウィンドサーフィンをしていると近海で熱帯低気圧が突然発生する ・ などなど、現場の実感と科学で分ったことなどを共有して、政治家や市民に自分の問題として考えてもらいたく立ち上げた  
■リンク集 : (温暖化状況)   地球温暖化現象について考えよう  ・ 地球温暖化現象の解説 ・ 100年後には国内の90%の砂浜がなくなる ・ 気候・生態系への影響 ・ フォーラム・気候の危機     
     
      
  京都議定書について 
      
■議定書の内容 : (日本経済新聞 2月12日より)    
世界ではじめて具体的に議定・・・ 二酸化炭素やメタンなどの温暖化ガスを、1990年を起点として、2012年までに先進国全体で5.2%減らす ・ 各国の削減目標は、日本6%、欧州7%など地域別に決めている ・ 米国はこの議定書から離脱を表明した  
   各国の目標と現状・・・・・・・・・ 日本の目標はマイナス6%であるが、2002年の時点で排出量が減少ではなく増加になっている   
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削減目標 2012年/1990年 2002年時点の状況/1990年
日 本 ▲6.0 7.6
フランス 0.0 ▲1.9
英 国 ▲12.5 ▲14.9
ドイツ ▲21.0 ▲18.9
E  U ▲8.0 ▲2.9
ロシア 0.0 ▲33.8
米 国 ー . 13.1
「排出権」京都メカニズム・・・・・・・・ 京都議定書は各国が温暖化ガス排出削減目標を達成出来るようにするため、他国の余った温暖化ガス排出許容枠を、または他国で排出削減支援したことによる排出許容枠増加分を授受できる「京都メカニズム」なるものを設けてある ・ 市場原理を活用し削減コストの低い途上国などへ資金を導入できるように考慮されている     
   排出権取得制度3つある・・・ @先進国が排出削減の目標値のない途上国で、排出削減に協力した場合に、その見返りに排出権を取得する「クリーン開発メカニズム(CDM)     
    A先進国が協力して先進国内で排出を削減した場合、投資した国が排出権を取得する「共同実施(JI)」     
    B先進国同士が排出枠の過不足を売買する「排出権取引き」 などである     
議定書の不透明感と不安感    
   参加国不足・体制の問題・・・ 議定書は先進国同士の約束であるが、米国やオーストラリアが脱退している ・ 世界における温暖化ガスの排出量における、議定書参加国の排出量は30%と1/3にすぎない ・ 途上国と米国が加わっていない   
     途上国不参加に課題・・・・ 今後中国やインドなどの途上国の排出量が急増し、2100年には世界排出量の約74%を占め、先進国の3倍弱にまで増加する見込み ・ 昨年の温暖化会議で中国の代表は「温暖化を進行させたのは先進国の責任、これから経済発展する国に規制を課すべきではない」と開き直っている    
       
   議定書だけでは不十分・・・・・ 「2012年までに5.2%減」が達成できたとしても、気候変動防止には殆ど役に立たない(国連の専門機関での試算) ・ 現在の待機中のCOの濃度は約370PPMで、産業革命以前と比べると100PPMほど上昇した ・ 生態系に影響が出てくるのは550PPMで、これには2050年までに世界の排出量を1/3に減らす必要がある ・ 京都議定書はあくまでも最初の一歩 ・ 今後進化することを前提にした体制  
  
■おそまつな先進国の状況 : 
当事国日本に不安・・・・・・・・・・・・ 京都議定書の最終年2012年には次なる目標が掲げられるであろうが、日本発の議定書の削減義務を 日本が守れなければ次への仕組みに支障がでかねない ・ しかし日本での状況は厳しく、石炭からのエネルギー転換のできる欧州とは事情が異なる ・ 原子力発電所増設にブレーキが掛かり、環境税に賛否が交錯、排出権取引きなど国内制度づくりもこれからの現状である   
   日本政府・目標達成計画・・・ 2003年度の国内温暖化ガス排出量は、1990年より8%増加、従って削減ではなく増加しているので 2012年までに14%減らせねばならないことになる ・ 政府は3月までに目標達成計画を取りまとめ、5月にも閣議決定する予定 ・ ガソリンなどへの環境税が現在争点になっている   
     小池百合子環境相・談・・ 達成計画に盛込む内容は、企業に排出量の報告義務付け、公表制度、自主参加型の排出権取引き、荷主し運送会社などの省エネ計画の作成などが柱 ・ また省エネ効果の高い家電製品の普及も必要で、性能をみて購入するよう啓蒙活動もする ・ エネルギー課税もして温暖化防止対策をとったところを応援する資金とする ・ 米国との対応は、カリフォルニア州など積極的な州がありそれと連携をとるのも一つのやり方、中国とも日本の得意技術を供与して、国際的対話の場へと導きたい  
市場取引きで温暖化ガス削減・・・ 2004年12月、国際協力銀行や日本政策投資銀行などにより「日本温暖化ガス削減基金(JGRF)」が誕生した ・ 世界銀行の「炭素基金」にならった日本初の排出権取得基金 ・ 両行のほか電力・鉄鋼・セ石油・トヨタ・ソニーなど31社が出資 ・ 途上国の温暖化ガス排出削減に協力して、見返りに排出権を得るクリーン排出メカニズム(CDM)を活用する ・ 実際の排出権購入を手がける「日本カーボンファイナンス(JCF)が出資する形をとる   
   排出権獲得に各国間競争・・ 排出権獲得のできる案件は限られており、各国との競争はし烈になる ・ これまでに獲得できたCDM/JIプロジェクトは:ブラジル(メタンガスの回収・バイオマスの利用)・チリ(メタンガスの燃焼)・タイ(籾殻発電プラントの建設)・インド・韓国(代替フロンの回収)・ベトナム(油田の攪拌ガスの回収)・・・・・などである  
   国連CDM理事会に登録・・・ 排出権獲得には本理事会に登録を行うのだが、異議申立てを受けるなどあって獲得は容易ではない ・ CDMは省エネルギーがまだ進んでいない途上国での削減で、最も期待されるものであるが、CDM理事会などへの手続きが必要で件数は実施少ない  
■リンク集 : (議定書と国内外推進状況)   
京都議定書関連・・・・・・・・・・・・・・・ 環境省・京都メカニズム情報コーナー ・ 京都議定書の骨子 ・ 米国離脱後の京都議定書 ・ 地球環境国際環境(環境省)  
国内外推進状況・・・・・・・・・・・・・・・ 環境省情報ほかリンク集 ・ みんなでCOを減らそう(環境省:輪のくらし) ・ JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター) ・ 環境省のホームページ ・ 東京都の地球温暖化防止対策 ・ 国際環境関連機関  ・ 世界主要国の環境規制 
       
       
  企業・家庭おける環境対策    
          
■新エネルギー開発が加速 :    (日本経済新聞2月12日より)     
燃料電池家庭向け実用段階・・・・ 燃料電池は水素と酸素を反応させて電気を起こす仕組みで、反応によって水しか出さないので究極の低公害エネルギー技術として注目される ・ 2月8日東京ガスが都市ガスから水素を取出し電気を作るシステムを発売、今回はリース方式で料金は年間で10万円(年間6万円節約できるという) ・ 新日本石油は液化石油ガスから水素を取出す   
   自動車用燃料電池の開発・・ 燃料電池車に水素を供給する「水素ステーション」の設置も徐々に進みはじめた ・ 水素が反応するときには都市ガスやガソリンなどから水素をつくるときにはCOが発生するがバイオナマスから水素をつくるときはCOが出ないので期待されている   
木屑生ごみからのバイオマスで・・・ 木屑や畜ふん、生ごみなど、生物由来のバイオマス(生物からエネルギーを得ること)は、燃焼してもCO排出量がゼロとみられ、注目されている  ・ 今年1月エタノール混合のガソリンが実験的に流通さ始めた(ブラジルや米国などでは代替燃料としてガソリンにエタノールを10%混合した「E10」の普及が進んでいる   
太陽電池は日本がリーダ・・・・・・・ シャープ・京セラが太陽電池の世界シェア1・2位 ・ 三洋電機も積極的投資をしている ・ ドイツでは太陽光電池の導入を政府が補助もしており、日本はそれへの輸出商機である       
   風力発電装置設置増加・・・・ デンマーク製直径90m(出力1500KW)の風車が販売され始めた ・ 三菱重工も国産風力発電機を年間480基生産する設備を整えた  
        
■省エネビジネスが活況 :    (朝日新聞2月21日より)      
すぐに経費削減・効果保証・・・・・・ こんな利点をうたう新手の省エネルギー支援ビジネスが急成長している ・ 2004年度受注額が500億円を超える見通し ・ 潜在的な需要規模は2兆5千億円との試算がある    
   発電と高温蒸気の機械・・・・・ 大型ガスエンジン式発電機(出力6000KW)を導入し、工場で使用する電気の60%を賄い、同時に回収した排熱で蒸気もつくるなどで、エネルギー減1割、経費節減5%を達成した(富士重工の例) ・ 斯様な事業をESCOと呼ぶ    
ESCO需要は拡大一途・・・・・・・・・ 急成長の背景には幅広い省エネ・コスト意識の高まりがある ・ 高効率のコージェネ(熱電供給)や空調出力をきめ細かく制御でき、照明などの機器性能も向上し、省エネ効果が上がっており、需要が拡大している   
   ESCO新規参入競争激化・・・ ESCOの受注実績の有る企業は30社程度 ・ ESCOを名乗る企業は70社を超え受注競争が激しくなっている ・ 中でも急速に台頭しているのが電力会社 ・ 電力の自由化が進む中苦肉の策として取り組んでいる   
■国内排出量抑制に決め手なし :    (日本経済新聞2月15日 朝日新聞3月9日より)       
      . 目標未達成なら国際信用失墜もとの意見も根強いが、排出量抑制に決め手がない現状である ・ 排出削減策が手詰まりの現状にあって、環境税論議が高まるが、経済界、道路公共事業関係者は反対している ・ しかしこのままでは、家庭や事務所で使用するエネルギーは増加し続け、2010年の排出量は1990年の2割ましになるみこみ ・ 政府は運輸・産業など部門別に削減目標を示す方針 ・ また政府は省エネ機器開発の後押しもしてきたが、価格も高く普及はいまひとつ ・ 有効な対策が見つからないため、環境税論議が高まって来た

議定書の約束が守れなければ、ロシアなどから温暖化ガスの排出権を購入して穴埋めしなければならず、現状の目標との差分でいくと、2千億円といわれる ・ 目標年が近づくと相場が釣り上がる可能性がある

中央環境審議会の地球環境部会は3月8日答申案を纏めた ・ 部門別費用を加算・年7000億円追加的な財政支出が必要 ・ 家庭まで含めると2兆円と試算
車通勤控え・CO削減・・・・・・・・・ 国土交通省は排出削減に向け、マイカー通勤抑制に取り組む ・ 既に企業ではトヨタ自動車やヤマハ発動機などが具体策を打ち出した ・ 国土交通省は費用の一部補助やマイカー通勤抑制に積極的な企業の認証制度を検討する ・ 日本のCOの排出量の3割が運輸部門、その半分程度が自家用車が占めておりその伸びも大きい ・ 国交省はシャトルバスの運行や低公害車の購入に必要な費用の一部を助成する方向  (日本経済3月9日夕刊より)     
       
■温暖化時代を識者が語る : (日本経済2月21日〜)
建築家・安藤忠雄氏談・・・・・・・・・ 建築分野で温暖化防止に役立つことは、百年以上利用できるような建物をつくること(現在は30〜40年で解体) ・ 改築や補修のしやすい設計にして、利用者もメンテナンスしながら長期間使用することだ ・ 天井を高くすると配管などの補修がしやすい ・ 都市の近代的な建築物は高層化、ハイテク化を進めたが、一方でエネルギー大量消費、ヒートアイランド現象など都市固有の問題を引き起こしている  
   日本人は資源を大切に使う・・ ガソリン代がういた分乗る距離を増やしたり、電気代が安くなった分新たな家電を増やしたりでは意味がない ・ 「ぜいたくをしながら地球環境を保全できたら」と考えるのはあつかましい ・ 戦前までの日本人はモノを大切にする資源循環型の生活をしていた ・ 日本人にはそのDNAがある   
国際日本文化・安田喜憲氏談・・・・ 古代ギリシャのアテネが滅んだのも、森林破壊と温暖化が一因とされる ・ 森の国で海洋国家であったアテネは、船の建造で森林を伐採しまくった ・ そこに温暖化が重なり雨が減少し森林が荒廃、港など湿地化してマラリア等発生、人口が激減した ・ アレキサンダー大王のマケドニアは森林豊富で、木材供給で力をつけ、ギリシャを征服した   
   2050年森林が無くなる/・・ 現代も同様であり、2050年には人口が100億人になって、森林はまったくなくなると予測される ・ 回想がほとんど生えなくなる海の砂漠化もすすむ過去と同じ経緯にある ・ 放置すると人類の危機がやってくる恐れが強い ・ 欧米が放牧と畑作を中心にしてきたのに対し、東アジアは稲作が中心であった ・ 稲作は森の管理や水の手入れをきちんとしないと成立しない ・ 欧米型文明追追究では成り立たないので要注意   
照明デザイナー・石井幹子氏談・・ 日本では仕事の効率を上げるため光の照度を上げて来た ・ 人工衛星からみると日本列島が突出して明るい ・ 店舗も明るさを競うようになっている ・ 人間の生体リズムでは、午前中は1500〜2000ルクスの高い照度を欲する ・ 昼過ぎには下がり、夕方には200ルクスとなる ・ 夜は外灯の下1ルクスなので、家のなかでは20〜50ルクスで十分 ・ 読書や台所はスタンド明かりで十分である  
   デジタル家電などで豊かに・・・ 技術革新による豊かなものは享受すべきが持論 ・ 家電製品の省エネ化は目覚しいので、生活関連の製品も省エネ型に替えて行くべきであろう ・ 使い方にも工夫が必要と説く   
         
■リンク集 : (環境関連の活動)   
官庁・企業の活動・・・・・・・・・・・・・・ ESCO推進協議会 ・ 地球環境関連ビジネス ・ 排出権取引きについて他 ・ 環境交流広場(京都府中小企業総合センター) ・ 実践エコ情報(環境Goo) ・ 温暖化防止総合リンク集 ・ 環境関連おすすめホームページ ・  企業・くらしのための法律相談(有料)
個人レベルの活動・・・・・・・・・・・・・・ 誰でもできる対処一覧 ・ 家庭ごみの減量(高1優太) ・ 地球にいいこと始めよう(こどもエコくらぶ) ・ あおぞら探検くらぶ(小中学生) ・ 高校生環境フォーラム地球温暖化対策案(企業編) ・ リスクコミュニケーション(環境省) ・ 環境にやさしい暮らしのチェック