生活習慣病の予防・検査・療法 と 関連リンク 
                             
(日経2/16 より)

 
  生活習慣病の要因とその予防    一次予防 生活の見直しを    二次予防 早期発見検査方法 
   生活習慣病の状況と要因         家庭で自己チェックができる      がんの早期発見について
    各自の摂生と社会での教育を      食事のバランスはどのように       生活習慣病の検診
    各生活習慣病について解説       生活習慣病を予防するためには   最新の検査方法
                                                各項目 関連リンクサイトを紹介
    がんばれ! 長島さんへ!
                                                特集記事のバックナンバー:

  生活習慣病の要因とその予防 

■生活習慣病とは :
   以前は「成人病」といっていた・・・・・1996年に呼び名が変った。 年齢だけでなく、生活習慣(ライフスタイル)
                             が病気の原因になることを よりはっきりさせようとの意味が込められた。
   日本・死亡率上位は生活習慣病・・・急性の病気である「結核」・「胃腸炎」などは戦後一貫して減少している一方
                             がんや心臓病・脳血管疾患といった、慢性のいわゆる「生活習慣病」
                             
が増えている。
                          特にがんは81年から、死因の連続1位。 
                             急性の病気である「肺炎」の死亡率も増加しているが、これはがんや
                             心臓病といった慢性の病気が基礎にあるため。
■病気を引き起こす要因 :
   @外的な環境要因・・・・・・・・・・・・・・・病原菌や化学物質などによるもの。 精神的なストレスもこれに含まれる。
   A遺伝要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遺伝子の異常や加齢による遺伝情報の読み間違え(ミスリード)によるもの。
   B生活習慣要因・・・・・・・・・・・・・・・・・食事・運動・喫煙・飲酒・休養といった日頃の習慣が病気の引き金になる。
                             中でも、がんは遺伝子情報の読み間違えなどの遺伝要因と、ある種の
                             ウィルスや放射線などの環境要員が大きな比重を占めている。
                              心臓病や糖尿病などは、食生活や肥満・運動不足などが要因となる。

               .
・不適切な食生活
 (高食塩・高脂肪など)
・運動不足
・睡眠不足
・ストレス
・飲酒
・喫煙  など

・肥満
・高脂血
・高血圧
・高血糖
・骨密度の低下
     など
・脳血管障害
・心臓疾患
・糖尿病、合併症
・骨折 (骨粗鬆症)
・がん
・歯周病
       など

■各自の摂生と社会での教育が大切 :
   病気予防は一次予防が重要・・・ 一次予防:正しい生活習慣を続けること ・ 生活習慣病はこれが重要。
                        二次予防:検診などによる早期発見。
                        三次予防:治療後の病気再発や進行の防止。
     キーワード1:「摂生」・・・・・・・生活習慣病は、食事・運動・休養といっただれもができることを心掛ける。
                          「あれやってはいけない、これやってはいけない」ではストレスがたまる。
                          自分ができることから始めるのがよい。 食塩や脂肪の多い食事は極力
                          避ける。 年齢に合った適度な運動と睡眠を十分にとるなどはしやすい。

     キーワード2:「教育」・・・・・・・日本の小学校では、手洗いやうがいの励行が教えられ実行されている。
                          これがインフルエンザや感染症を防いでいる。
                        今後は、生活習慣病すなわち慢性の病気に対する健康教育が大切である。
                          生活習慣病は若い頃からの生活にある。 若者への啓発も欠かせない。
                          加えて、大人や社会への教育も進める必要がある。 外食のありかたや
                          喫煙習慣の是正、休養や睡眠が職場でとれるような仕組み、正しい
                          健康情報の提供にもっと力を入れるべきであろう。
   ライフスタイルの改善で予防・・・・現在は病気の治療を
目的にした“病院”が主役であるが、これからは健康維持
                          のための活動や情報提供をするところも大切。

          関連リンクサイト・・・・・知って得する生活習慣病について   生活習慣病の飲食と養生
                        症状別から生活習慣病をチェック    日本生活習慣病予防協会
                          少年写真新聞社「健康シリーズ」    一市町村の食教育の取組み
                          習慣病の地域における予防指導    教育の街文化の街・地域活動

各生活習慣病について解説 :
   糖尿病 : (河盛順 天堂大学教授談)
     糖尿病患者50倍に増加・・・・この50年間の増加数である。 推計750万人いる。 2〜3年以内に糖尿病に
                          なると疑われる「糖尿病予備軍」は880万人いる。  しかし、定期的に
                          検査や治療を受けているひたは350万人だけ。
     危険な病との理解を・・・・・・・ 糖尿病は網膜症や腎不全、神経障害、心筋梗塞などを引き起こすのに
                          軽くみる人が多い。 糖尿病になり易いのは、インスリンの分泌が少ない
                          親が糖尿病の遺伝的体質のケースも多いが、年をとると過食つづきで肥満
                          や脂肪肝になると、筋肉や肝臓が糖を取り込まなくなり高血糖になる。
     バランスよい食事と運動を・・・
糖尿病だからといって食べてはいけないものはなにもない。 要はバランスよく
                          適量の糖質、脂肪、蛋白質を1日3回にわけて食べることだ。 
                          そしてジョギングや水泳といった運動もよいが、歩いたり立っている時間を
                          少しでも長くすることが重要。 足踏みをしながらテレビを見る有効性は
                          米国での大規模研究で立証されている。
     小学校で「食育」の授業・・・・・最近、小学校の給食を使って、正しい食事を教える試みがはじまっている。
                          子供が家に帰って教えてくれるであろう。

          関連リンクサイト・・・・糖尿病奮戦記・実施項目別に詳記    糖尿病各種情報・ご家族にも
                        糖尿病食単位奮戦記   オンラインソフトで健康管理   糖尿病リンク集
                        糖尿病の予防・治療・食事・運動療法   糖尿病アタックプラン

   がん : (垣添忠生 国立がんセンター総長談)
     日本人死因の連続トップ・・・・・年間30万人ががんでなくなっている。 かっては胃がんや子宮がんが多かった
                          が肺がんや大腸がん、乳がん、前立腺がんが急増した。 
     がんの原因は食事と喫煙・・・・食事が約35%、喫煙が約30%、ウィルスなど感染が10%とされ、計75%が
                          日常生活や生活習慣に深く関係している。 
                         がんは「遺伝子の病気」。 体内の細胞でがんになる遺伝子が活性化し、がん化
                          を抑える遺伝子が働かなくなることにより起こる。 
     ゆっくり型多いので検診を・・・・急激に悪化するがんを別にすれば、8・9割は進みが遅く、予防や検診、診療
                          そしてもし救えない場合には、緩和医療を講じることができる。 この中で
                          特に重要なのが、がんにならない「一次予防」「二次予防」である。 
                          国立がんセンターでは、このほど「予防・検診の研究所」を開所し、予防・検診
                          の研究を強化している。
     がんは生活習慣に関わる
・・・・深く関わる。 であるが、正しい情報を知り、正しく実践すれば十分予防できる。 
                          仮になっても治療は不可能ではない。 治療の可能性は日々高まっている。

          関連リンクサイト・・・・・がんの部位別ベストホームページ   医療相談リンク集   がん関連機関
                          がん克服総合リンク集   がんホスピスリンク集   免疫力を高める食品

   のう梗塞や心筋梗塞 : 
(松沢佑次 住友病院院長談)
     日本人死因の1/3・・・・・・・・・これら動脈硬化疾患にかかる人は多い。 心筋梗塞の原因は、高コレステロール
                          だけではなく、肥満・高血圧・高血糖も高い因子である。 
     これらの4要素と健康管理・・・・この4つが揃った人は、二次健康診断給付事業で血管のチェックを受けられる。
                          肥満については、皮下脂肪でなく内臓脂肪である。 へそ回りが大きい(男性
                          85cm・女性90cm)のに、お腹をつまんで薄かったら、内臓脂肪が溜まって
                          いると予想される。 腸管の周辺に脂肪が溜まると、糖尿病、高血圧症、心筋
                          脳梗塞を起こし易い。
     
運動で内臓脂肪を減らせる・・・内臓脂肪は、年齢とともに増え、女性は更年期以降に増えることが多い。 
                          食事は、糖分や脂肪分が多いほど溜まり易い。 運動は内臓脂肪を減らすのに
                          最適。 皮下脂肪はなかなか減らないが、内臓脂肪は3ヵ月の運動で大きく
                          減った人もいる。
     生活習慣にかなり関係・・・・・・内臓脂肪など脂肪細胞は、
エネルギーを溜めるだけでなく、一つ一つが血管と
                          繋がり、全身を管理している。 だが最近は、脂肪細胞は様々な物質をバランス
                          よく分泌できなくなってきている。 生活習慣にかなり関係している。
       内臓脂肪の蓄積の要因・・・皮下脂肪はエネルギーとして燃焼しやすいが、内臓脂肪は血液中に容易に溶け
                          出し、高脂血症や糖尿病、高血圧発症へ影響を与える。 内臓脂肪を蓄積
                          する生活習慣は、例えば食事を満腹になるまで食べる、夜食や晩酌をよくする
                          ような生活習慣のひと、胴回りが腰回りより太いりんご型体形のひとは要注意。


          関連リンクサイト・・・・・高脂血症の予防・治療・食事・運動療法   肥満のエネルギー収支・食事療法
                        体脂肪と内臓脂肪:内臓脂肪を減らすには   高脂血症の食事療法

   高血圧 : (藤田敏郎 東大教授談)

     日本人の1/4が高血圧・・・・3500万人の患者がいるありふれた病気であるが、脳卒中・心筋梗塞などを起こす。
                          これらから免れるには、薬物治療に加え、食事・運動・ストレスなどライフスタイル
                          の改善が必要。
     食事に注意・・・・・・・・・・・・・・最も重要なのが、塩分の制限。 一日の摂取量は全国平均12.3gであり、学会は
                          10g以下を推奨している。 塩分を含む加工食品があふれており、減らない。

                        減塩による効果は、一日摂取量を5g減らせば、血圧は上が4.8、下が2.6下がり
                          これだけで3万人が脳卒中にならずにすむとの推計がある。 ただ、この減塩の
                          効果
出る人は、全体の半数、食塩の感受性のある人達である。
     カリウム・マグネシウムを・・・・りんごなどの果物に含まれるカリウムに、血圧上昇を抑える効果があることが最近
                          分ってきた。 にがりなどに含まれるマグネシウムにも、同様の働きがあるとされ
                          学会は果物や豆腐、海産物を豊富にとるよう勧めている。
                        科学的な証明はないが、多くの専門家はストレスが高血圧の原因ではと考えている。

                          これも遺伝的要素が大きく影響し、ストレス実験で決流量の変化する人、変化
                          しない人がいる。

          関連リンクサイト・・・・高齢者高血圧の予防・治療・食事・運動療法   ミネラルの万能選手マグネシウム
                        透析患者にはカリウム取り過ぎは問題   「減塩」にもの申すリンク集  


  一次予防 生活の見直しを   (上記パネラーによる座談会)

■家庭で自己チェックできる :

   体脂肪計は内臓脂肪ではない・・・体脂肪計で測定されるのは皮下脂肪で、その値も朝晩で変動がある。 普通なら
                          体重が減れば脂肪が減るので、体重の方が絶対値が近いからどの方がよい。
   家庭の簡易血圧計が普及した・・・朝飲んだ血圧の薬が効いているときの血圧値は疑問。 診療所で午前に計るより
                          自宅で夜に計る方のがよい。 血圧を24時間下げるためには、家庭での測定は
                          重要であり、起床時と就寝時に測れるとよい。 腕で測るタイプがよい。
   症状出難い糖尿
病のチェック
・・・・尿の糖を調べる検査紙を薬局で安く購入できる。 食事をとって2時間以上たった
                          後の初めての尿で検査してほしい。 食後は血糖値が最もたかくなる。 朝食事

■食事のバランスをどのようにとるか :
   高血圧は塩分が最大原因・・・・・栄養士らに聞くと、レモン味にすると減塩も可能だというが、なかなか減らせない。
                         必要以上に塩分で味付けした加工食品が多い。 米国では食品に塩分顔料
                          含有量の明示が義務づけられている。

   糖尿病での食事バランス・・・・・・三度の食事をとり、その間になにも食べないことが大事である。 間食とは、牛乳や
                          砂糖入りコーヒーを飲んだり、果物を食べたりすることも含まれる。 外食が多い
                          とついつい食べ過ぎるので、2割残すように患者にはお願いしている。
   がんは欧米風の食事で増加・・・
日本人で増えているのは癌。 これは食生活の欧風化が大きな理由と推測できる。
                          大腸がん、乳がん、前立腺がんがその代表的、 脂肪食が多くなったためだ。
     その他予防策: 禁煙・・・・・・喫煙によるがんリスクは、喉頭がん32.5倍、肺がん4.5倍である。 アルコールとの
                          組合わせが問題で、食道がんや肺がん、喉頭がん、口腔がんへリスクを高める。
     食べ物での注意・・・・・・・・・・・焦げた挽肉などに含まれる発がん物質の大量摂取ががんを招き、食事量制限が
                          がんを抑えることが動物実験により証明されている。 (愛知県がんセンター)
     
予防の12ヶ条・・・・・・・・・・・・たばこは吸わない ・ 塩辛いものは避ける ・ できれば野菜や果物を多く
                          適度に運動をする ・ 余り日に焼けない など (愛知県がんセンター)

■生活習慣病を予防するためには :
   栄養面・食塩量をよく考えよ・・・・・糖尿病などの生活習慣病は、長い間のツケとして表れる。 であるので同じ生活が
                          続くのではよくない。 栄養面から考えること、家族ぐるみで取り組むのもいい
                          だろう。 父母が高血圧など素因のある人は、早くから食塩の摂取量を下げて
                          ほしい。 幼少のときから家族全員が、薄味になれるのがよい。
   今の若者は早くから要注意・・・・・
今の若者には主食という概念がなく、食生活が崩れている。 さらに、やせなくても
                          よい人がダイエットして低栄養や、骨粗鬆症予備軍にもなっている。 日本独自の
                          健康食であるコメを主食とした和食文化を守るべきだ。 ただし、食塩の量は
                          意識的に減らしたほうがよい。
   仮に生活習慣病になったならば・・尿や血液に多少の異常値があっても、そのままほってしまう人が多い。 がんが
                          見つかれば必死に治療を受けるが、これら異常値もすぐに手を打って欲しい。

                        高血圧は、確実に血圧を下げなければ、脳卒中や心筋梗塞が起こり易い。 
                          薬で血圧が下がっても、食事制限を守ることが大切。 
                        糖尿病、高脂血症、高血圧などは、遺伝子的要因でもおきるので、その要因を
                          もつ人はそれに特化した
治療を行うべきである。 ただ、この3つが同時に
                          起きている場合には、薬を飲むより、内臓脂肪を減らす方が効率的である。
   

           関連リンクサイト・・・生活習慣病に気を付けよう   いきいきとした暮らしを工夫する医療生協
                        遺伝子診断・遺伝子治療    「健康って」「栄養って」解説と無料相談
                        健康ナビ(健康・医療・食事)  食と健康の基本:生活習慣病予防の食品




  二次予防 早期発見検査方法   (上記パネラーによる座談会)  

■がんの早期発見について :
   がん検診の方法・・・・・・・・・・・・・・日本では、胃がんは胃の二重造影、乳がんは視触診、大腸がんは便潜血反応が
                          行われている。 さらに乳がんは、マンモグラフィーというエックスセン撮影の
                          有効性が米国などで確認されている。
   がん検診の有無の確認を・・・・・・・糖尿病などで定期的通院しているものに、がんについてもチェックを受けていると
                          誤解している人がいる。 勘違えしないようにしてほしい。
   難しいのが膵臓がん・・・・・・・・・・・胃がんは、診断の半数が早期がんで、大半がなおっている。 逆に難しいのが
                          膵臓がんであるが、遺伝子研究のスピードから画像診断の道が開かれよう。

■その他生活習慣病の検診 :
   内臓脂肪量の測定・・・・・・・・・・・・CTスキャン(コンピューター断層撮影装置)で行う。 手つまみの簡易法は前述。
                          腹部の断層映像で内臓脂肪の面積が100平方センチ以上ならば症候群。
   糖尿病の早期発見には血糖値・・・通常の定期検査では空腹時の血糖値を調べている。 日本糖尿病学会の診断
                          基準では、126ミリグラム(血しょう1デシリットル当たり)以上が糖尿病と疑う。
                          ただ、空腹時血糖だけ調べても見逃すと指摘されており、学会では最近、
                          食事2時間後の血糖値測定を呼びかけている。
                        病院などの検査では、ぶどう糖などを飲んで2時間後の血糖値を診断するが、
                          200ミリグラム以上だと要注意とされる。
                        家庭で血糖値を
測れる簡易測定器が市販されている。 指先などを針で採血
                          するがほとんど痛みのない機器も登場した。 1〜2万円で購入できる。

          関連リンクサイト・・・・糖尿病の検診サービス 習慣病生活検査キットの使い方   家庭検査キット   
                        家庭検査キット   オンライン問診  生活習慣病専門情報(リンク集)

■最新の検査方法 :
   画像診断のいろいろ・・・・・・・・・・・放射線を使う単純X線検査 ・ コンピューター断層撮影装置(CT)
                          超音波検査 ・ 磁気共鳴画像装置(MRI)など様々な方法がある。
                          乳がん検査の切り札とされるのがマンモグラフィー、乳房を圧迫しながら
                          X線で上下左右から撮影する。
                        最先端の画像診断機器として注目を集めているのが陽電子放射断層撮影装置
                          (PET)薬剤を静脈に注射して撮影する。 肺がん、大腸がん、膵臓がんなど
                          適用範囲画広い。

   動脈硬化の診断・・・・・・・・・・・・・・血管の年齢を調べるのは難しいとされてきた。 最近赤外線を使って血管年齢
                          判定する装置が出てきた。 血管の動きを波形でとらえ、老化度をみるもので
                          病気かどうかは診断できないが、動脈硬化の判定目安にはなる。 一部の
                          自治体、医療機関で導入をはじめた。  

          関連リンクサイト・・・・・血管の健康度チェック   リハビリのリンク集  がんばれ!長島さんへ