昨今のがん治療 と 最新のがん治療(がん部位別)  
        
              (読売新聞 平成15年1月〜平成16年8月)

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がんに挑む 最新のがん治療
国立がんセンター
  垣添忠生総長談話
 昨今のがん治療について
 . 乳がん・子宮がん・頚椎がん
副鼻腔がん・胃がん・喉頭がん
肝臓がん・前立腺がん  
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                                     特集記事のバックナンバー:

がんに挑む・・・・・・・・・・・・・・・ 読売新聞 (4月5日〜8月2日) 国立がんセンター 垣添忠生総長の 談話   
病院ランキングは疑問・・・・・・・・・ 新聞・雑誌などで「手術件数の多い病院が良い病院」と報じられるが、疑問 ・ 早期がんばかり選んで治療すれば件数があがるから疑問 ・ 病院情報が氾濫しているがその質・根拠を見極めることが大切   
よい臨床医へ・・・・・・・・・・・・・・・・ 医師は大学卒業後、2年間の研修が漸く必修化された ・ 論文ばかりに頭が行かぬようにとの実習 ・ よき臨床医は、患者・家族の話をよく聴き共感する医師であらねばならない
最新情報を患者さんへ・・・・・・・・・ 米国国立がん研究所の雑誌JNCIは、1・5億円/年かけて発刊されている ・ 日本では、費用は及ばないが、国立がんセンターが中心となり、専門家向け英語月刊誌を発行、一般向けにはホームページ(http://www.ncc.go.jp/jp)により情報を公開している    
女性へのがん検診が一変・・・・・・ H16年4月から、国家プロジェクト「第3次がん10ヶ年総合戦略」がスタート ・ がん検診の精度向上の検討会が立ち上がり、筆者はその座長 ・ まず女性がんについて中間報告を纏めた(40歳以降女性に 2年に1度、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)・視触診を受けてもらう ・ 女性がん検診が一変  
終末期医療を皆で考えよう・・・・・・ がんに掛かる約半数は今でも亡くなる ・ 年間30万人を超えた ・ その多くの方は最後には苦痛を訴えながら亡くなる(痛み・呼吸困難・脱力感・腹満・食欲不振など) ・ これまでこの問題には看護師が積極的に取り組んできた ・ 充実感をもって行かれるよう、様々な学会で研究が始まっている   
外来診療が様変わり・・・・・・・・・・ 現在検査と治療方針の決定までを外来で済ませている ・ 「がん告知」も外来で済ませることになる ・ 膨大な数の外来診療をこなしながら、患者への説明・コンピュータへのデータ入力・抗癌剤投与・内視鏡手術まで外来で行われるようになった ・ 医療技術の進歩と在院日数短縮への厚生労働省の動きにより
国家プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・ 中曽根康弘総理に発足した「対がん10か年総合戦略」により、研究費、人材が多く投入され、わが国のがん研究は一躍世界のトップ・レベルに達した ・ がん診療、検診の推進、正確な実態把握、全国どこでも一定水準以上のがん治療を受けられる体制の整備を目指している 
放射線治療定着に・・・・・・・・・ 「対がん10か年総合戦略」の目玉として、放射線医学総合研究所に重粒子線治療装置施設がつくられた(直径40mサイクロトロン・300億円) ・ 以来、頭頸部がん、肝がん、肺がん、前立腺がん、悪性黒色腫、再発直腸がん,骨肉腫、前立腺がんなど、1800名余の患者が重粒子線治療を受けた ・ 重粒子線治療の特徴は、がん病巣に炭素イオンを集中させ、がん細胞を強くたたくこと ・ 日本発の新しい医療技術
   
最新医療・・・ 読売新聞2003年/1月〜)     
 乳がん
   新ホルモン療法・・・・・・・・・・ 手術後に抗癌剤(発熱・吐き気・脱毛を伴う)を使用せずにホルモン療法というのがある ・ 乳がんの患者は30歳ごろからで40歳代後半が多い ・ ホルモン療法は卵巣機能抑制剤を注射または錠剤投与、脱毛がなく、抗癌剤よりも閉経率少なく人気 ・ 読売新聞詳細記事 ・ 日本乳がん学会 ・ 同学会認定病院一覧 ・ 患者団体「イデアフォー」   
   画像誘導下乳房生検・・・・・・ 最近はマンモグラフィー(乳房X線撮影)や超音波検査の普及で、細かな病変も見つかるようになった ・ マンモグラフィー生検は、マンモグラフィーや超音波画像で確認しながら針をさすので、確立が高い ・ 胸に傷を残すことも少なくやさいい検査方法である ・ 読売新聞詳細記事(本生検をしている施設)
   乳がんの悪性度検査・・・・・・ 乳がんから転移して行くたちの悪いがんであるかの検査方法 ・ 抗がん剤を過剰投与したり、病状を見誤って対応が遅れたりしないようにとのことで開発されたのがHER2検査 ・ HER2強陽性の患者には、従来困難であったが治療薬「ハーセプチン」朗報もでてきている ・ 読売新聞詳細記事(HER2検査のある病院)
   乳がん治療に初の指針・・・・・ 乳がん患者は3万人/年 ・ 年間死者は約1万人(10年前の1・5倍以上) ・ 45〜59歳の女性での死亡率では、がんの中最多 ・ 105項目問答から4段階の「医学的療法の根拠」の強さが示される ・ アメリカでは公開であるが国内はまだ一般は入手できない ・ 読売新聞詳細記事
 子宮頸がん
   検診に新手法・・・・・・・・・・・・ ウイルスのDNA診断を行う、感染の有無と同時にDNAの型を調べ、がんに進行しやすいものかを見る ・ 細胞診で異形成があった人が対象 ・ 皮膚にイボをつくる「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が、発がんに深く関与 ・ ヒトパピローマウイルスは性感染症で、性交渉により感染する可能性がある ・ 読売新聞詳細記事(DNA検診をしている施設)
 頚椎がん    
   がんだけに強力照射・・・・・・・ 病巣7cmと大きく手術危険、中枢神経の集まる脊髄付近で、放射線治療危険、抗癌剤期待不可において、千葉市の放射線医学総合研究所の重粒子線照射を受けた ・ 結果がんが完全に消えた ・ 読売新聞詳細記事 ・ 放射線医学総合研究所    
 副鼻腔(ふくびくう)がん
   陽子線病巣集中治療・・・・・・ 眼球付近に放射線をかけると失明の危険性がある ・ エックス線(放射線)は体内入っていくと放射線の量が弱まり、病巣の周囲の組織に傷をつける ・ 陽子線は病巣で線量をピークにすることができる ・ 早期の肺がん、肝臓がん、前立腺がんでも使用 ・ 手術と同等の成績 ・ 読売新聞詳細記事(陽子線治療施設を持つ病院)
 胃がん  
   早期胃がん・腹腔鏡手術・・・ 70歳の患者が早期胃がんで、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受け、胃の半分を切除 ・ 7日目におかゆをとれた ・ 日本人のがん発症で最多が胃がんで年に10万件ほどになる ・ 読売新聞詳細記事(腹腔鏡・胃がん手術の多い病院) ・ 胃潰瘍心療指針   
   早期胃がん・切開はく離・・・・ 2cmまでの内視鏡で切取れるが、残しがある可能性もあるので、2、3回に分けて切り取る ・ 3cm以上になると胃の2/3を切除する(食べる量が減る) ・ 切開はく離はメスを入れるので、ワイヤよりは病理の広がりを正確に判断できる ・ 読売新聞詳細記事(切開はく離経験豊富医師がいる病院)
 喉頭がん    
   失声なくがん治療・・・・・・・・・ 喉頭の一部を残す「喉頭亜全摘手術」 ・ 通常の全摘手術と異なり、声を失わないですむ ・ 欠点は食べ物や水が気管に入ってしまうこと ・ リハビリで入院期間は長い ・ 読売新聞詳細記事(喉頭亜全摘出手術をする病院)
 肝臓がん     
   抗がん剤・2剤併用・・・・・・・・ 従来肝臓癌は、手術による切除、ラジオ波による焼く、アルコール注入する方法などが効果あって、抗癌剤は効果少とされていた ・ 2剤併用により「5―FU」と「インターフェロン」をカテーテルによる抗癌剤投与により効果をあげた ・ 読売新聞詳細記事(併用療法採用医療機関 )
 前立腺がん     
   がんの超音波治療・・・・・・・・・ 前立腺がんは高齢化で増えており、7000人/年死亡 ・ 早期がんであれば、手術・放射線・ホルモン療法などあるが副作用もあある ・ 体への負担が比較的少ないのが超音波治療 ・ 放射線治療にくらべ実績は少なく、有効性・安全性は明らかではないが状況により一考の価値あり ・ 読売新聞詳細記事(超音波治療の医療機関)
   小線源療法・・・・・・・・・・・・・・ 放射線を出す微少なカプセルを前立腺に埋め込み、癌細胞を殺す治療法 ・ 病巣に集中的に放射線が当るので副作用が少なし ・ この治療は前立腺早期のがんで、手術を受けた患者は受けられない ・ 実施できる施設は文部科学省認可のところに限られているが、広がるとみられる ・ 読売新聞詳細記事(小線源療法採用医療機関 )
   待機療法(血液検査)・・・・・・ 前立腺がんは、進行が遅く発見から発病まで平均10年かかる ・ 70歳以上の20〜30%に前立腺がんをかかえている ・ 男性機能の低下が半数・尿漏れがある ・ ホルモン療法があるが、男性機能は失ったり、顔がほてりがある ・ 待機療法(無治療経過観察)なるものがあり、2、3か月に1度検査し、半年ごとに増殖を判断する ・ 読売新聞詳細記事(厚労省の待機療法共同研究参加病院 )