安倍総理の研究  厳しい見方 と 期待する見方  
        
               (日本経済新聞 朝日新聞 他より)   新聞特集などを分かり易く整理

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経済構造改革 外交
憲法改正 ほか
霞ヶ関のリストラと抵抗
再チャレンジ社会と年金
経済成長と競争社会修正
 . アジア外交と中国
米国評価はまずまず
底流には厳しい考え
 . 矛盾はらむ新憲法
歴史認識・現実路線
 所信表明演説より
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  安倍晋三新政権の研究     
      
■経済・構造改革 :     
霞ヶ関のリストラと抵抗への対策・・・ 小泉政権の最後の目玉「政府系金融機関の統廃合」も、リストラへ霞ヶ関の抵抗あって、進まなかった ・ 安倍政権が官僚の手のひらで踊る印象を与えれば、安倍政権の支持率は維持できない  ・ そこで打った手のひとつが「官僚スタッフの公募」 ・ 「首相指示による政策立案」「各府省には戻さない」というものであるが、役所の見繕った顔ぶれが並びそう ・ 敵は霞ヶ関にありである (日経9月22日より)       
再チャレンジ社会は年金が課題・・・・ 「本当に再チャレンジ社会を作るには、行政の縦割りを超えた改革が必要」樋口慶大教授談 ・ 一例が年金制度、厚生年金の保険料の半分を事業主に負担が掛かるので正社員を減らす企業が目立つ ・ 厚生年金と国民年金の一元化が必要 ・ 規制緩和に伴う過当競争から消費者を守るには、官僚既得権温存への監視機能を整えること ・ それには官僚組織の壁を打ち破らないと実現できない (朝日新聞9月24日より)  
経済成長の安倍政権へだが・・・・・・・ 人口減で需要も供給も減りかねない時代 ・ 既得権益打破の小泉政権であったが潰しきれていない、いやその既得権益が復活しそうな状況になってきている ・ 郵政特定局長会から自民党への改革見直しの風圧が強まっている ・ 道路財源を一般財源にするのは小泉政権からの引継ぎ事項であるが、来年参院選挙が終わってからのシナリオ ・ まだ手がついていないのが農業、アジアFTA交渉には日本への農産物関税引き下げが障壁になっている、日本の農業改革まったなし などなど課題山積 (日経9月23日より) 
競争社会の修正を模索・・・・・・・・・・ 有力省庁の閣僚経験がない安倍総理の霞ヶ関人脈は太くない ・ 大蔵省出身の坂篤郎官房副長官補築いている各省庁への顔 貴重な資産 ・ 新たなブレーンと安倍総理言い切る ・ 一方銀行協会の会議では「再チャレンジ」への融資を要請 ・ しかし応えはリスクが伴うと、冷たい (朝日新聞8月31日より) 
小泉政権自由化路線を切替えるか・・ 「山陰道必要、新幹線も未来への投資」安倍総理は元官僚のブレーンに語っている ・ 「大手スーパーができると商店街がなくなり、祭りもなくなる・それが地方の現状だ」競争原理だけでは地域社会が崩れてしまうと危機感をにじませている ・ 小泉政権のレールからポイントを切替えるか、模索が始まっている (朝日新聞8月31日より)    
財界・経済政策に関する人脈・・・・・・ 葛西敬之(JR東海会長) ・ 勝俣恒久(東京電力社長) ・ 西岡喬(三菱重工会長) ・ 濱口道雄(ヤマサ醤油社長) ・ 牛尾治朗(ウシオ電機会長) ・ 御手洗富士夫(日本経団連会長) ・ 盛田淳夫(敷島製パン社長)  (朝日新聞8月31日より)
      政治家・・・・・・・・・・・・・・・・ 与謝野馨(経済財政大臣) ・ 中川秀直(自民党政調会長) 
      官僚・・・・・・・・・・・・・・・・・ 坂篤郎(内閣官房副長官補)       
   
■外交 :   
アジア外交、中国重視を望む・・・・・・ 安倍新総理の外交姿勢の柱のひとつに「価値観の共有」がある ・ 米国・オーストラリア・インドなどと連携して民主主義を世界に敷衍させようとのもので、日米同盟のさらなる深化を模索する ・ この対中包囲網づくりの色が出すぎると日中関係の溝はなかなか埋まらない (日経9月24日より)             
米国の評価はまずまず・・・・・・・・・・ 「アジアに対する戦略的な見方をもっている・靖国問題で信念をもちつつも中国との関係改善に乗り出すとしている・中国だけが主要国でないと豪州・インドとの連携・ブッシュ政権も期待している」グリーンアジア部長談 ・ 一方で懸念はやはり、歴史と領土問題で、安倍新総裁が中国と韓国へどんなメッセージを送るかだとの指摘もある (朝日新聞9月23日より)       
しかしその基本的考えは厳しい・・・・ ある論文の草稿(出版停止になったものだが)に、安倍総理の考えが示されていた ・ 「過去の戦争を反省する文章を入れることは如何なものか・その贖罪意識で言うべきことをいうこと」と ・ 安倍総理の基本戦略は「日本の植民地支配と侵略を謝罪した村山首相談話路線からの脱却」だとする安倍ブレーンもいるほどにタカ派 (朝日新聞8月29日より)       
対中関係改善に「努力」・・・・・・・・・・ 中国とは政治問題を経済関係に波及させない「経済分離」が安倍氏の持論 ・ 「成熟した関係を作っていくためにも、わたしたちもしっかり努力したい」と語っている ・ 中国側も呼応している ・ しかし個人的な生い立ちに根ざした信念はそうは変わらない ・ 中国もその前提で臨んでくるであろう (朝日新聞8月30日より)    
外交・安全保障に関する人脈・・・・・・ 論壇: 古森義久(国際問題評論家) ・ 岡崎久彦(外交評論家)        (朝日新聞8月30日より)
      拉致関連・・・・・・・・・・・・・・ 西岡力(東京基督教大教授) ・ 横田滋・早紀江夫妻 ・ 中山恭子(元内閣官房参与)        
      政治家・・・・・・・・・・・・・・・・ 平沢勝栄(衆議院議員) ・ 塩崎恭久(衆議院議員) ・ 山本一太(衆議院議員) ・ 前原誠司(衆議院議員)        
      米国・・・・・・・・・・・・・・・・・ グリーン(前国家安全保障会議アジア部長) ・ シーファー(駐日大使) ・ ライス(国務長官) ・ ハドリー(大統領補佐官)    
       
■憲法改正 :          
矛盾はらむ新憲法・・・・・・・・・・・・・・ 安倍新総理「現憲法は大きな強制の中で制定されたもので、日本人の精神に悪い影響を及ぼしている」として「憲法改正・独立回復」を唱えている ・ しかし参院では現行憲法の戦後日本への寄与を高く評価する意見が共通になっている ・ 改憲の成否は、公明・民社の姿勢次第 ・ 一本調子のナショナリストでなく「寛容な日本」も唱えている ・ 幅の広さを見極める試金石であろう (朝日新聞9月22日より)         
歴史認識路線か現実路線か・・・・・・ 憲法改正と教育改革は安倍新総裁の生命線になる重要テーマである ・ 「戦争で国家は悪との方程式ができてしまい、教育のゆがみを生んでいる」、「教育基本法も占領下でできた」との考え方 ・ だが安倍新総裁の「確固たる国家観」は先の戦争をどう受け止めるかの歴史観と切り離せず、中韓・米国との関係にも目配りをせざるを得ない (朝日新聞8月29日より)      
国家観・歴史観に関する人脈・・・・・・ 論壇: 伊藤哲夫(日本政策研究センター所長) ・ 中西輝政(京大教授) ・ 岡崎久彦(外交評論家) ・ 八木秀次(高崎経済大学教授) ・ 古川薫(作家)     (朝日新聞8月29日より) 
      歴史教育を考える会・・・・・ 中川昭一(農水相) ・ 下村博文(衆議院議員) ・ 古屋圭司(衆議院議員) ・ 山谷えり子(参議院議員)          
      靖国参拝支持の会・・・・・・・ 高市早苗(衆議院議員)
      伝統と創造の会・・・・・・・・・ 稲田朋美(衆議院議員)
           
■所信表明演説 :    (朝日新聞9月30日〜10月3日)       
憲法・教育がマイルドな表現に・・・・・ 「21世紀にふさわしい憲法を」(首相就任前の発言) → 「与野党議論し、方向性を出してくれることを願っている」・・・・・「教育基本法改正案の早期成立を期す」「教育再生会議を発足」 ・ 教育関係:伊吹文明(文部科学省大臣)・山中えり子(首相補佐官)・下村博文(官房副長官) 教育基本法改正、歴史教科書問題に積極的な人たち・現段階では発言控えめ        
改革路線も美修正・・・・・・・・・・・・・・ 「改革のたいまつは引き継ぎたい」「格差を感じている人たちに光をあてる」(就任前発言) → 「炎は燃やし続けていく」「その人たちに光を与えるのは政治の役割」・・・・・「イノベーションの力とオープンな姿勢により、日本経済に新たな活力を取り入れます」「2025年までの技術革新を見通した重点投資の長期戦略を策定する」「頑張る地方応援プログラムの推進」「再チャレンジ可能な社会をめざす」    
集団的自衛権の憲法解釈にくさび・・ 「新しい時代にふさわしい憲法の議論に期待」「国民投票法案の早期成立」・・・・・今年5月、日米両政府が合意した在日米軍の再編問題、米軍と自衛隊の具体的な役割分担の議論が深まらなかった ・ 中台紛争、朝鮮半島有事の議論はあったが、集団的自衛権のことばですべてが止まった ・ 集団的自衛権の行使が禁じられている中では、自衛隊と米軍の一体化には限度があるからである ・ 安倍総理は「日米同盟の双務性向上を強調、それあって日本が米国にものを申せるのだ」としている    
「社会保険庁は買いたい出直しを」・・ 安倍新総裁はこういって民衆の喝采を集めているが、本来はまず、医療・年金の改革の方が先であろうから、参院選にこのテーマをもってくることは難しい ・ 選挙テーマへと安倍総裁は考えているようであるが、ハードルがある        
教育再生に直ちに取り組みます」・・ 「豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成にむけての教育の再生」 ・ 安倍総裁のもう一つの争点・選挙テーマにしようとしているものである ・ 官邸主導で教育改革をすすめられるよう「教育再生会議」を早急に発足させる ・ 学校の競争を促す「切り札」として導入に意欲をもやす「教育バウチャー」については演説に盛り込まなかった ・ 強いメッセージは消されておりまだ模索が続いている   
            
   
■改憲政権にもの申す :    (週刊現代10月号より)
教育基本法改定に反対(立花隆)・・・ 安倍新総理は憲法改正と教育基本法の改正を政治プログラムに載せるとしている ・ 両法案審議の浅さに心配がある ・ 改正を叫ぶひとがすぐ主張するのは「愛国心」と「家族の情」である ・ 教育基本法は教育勅語に変わるものとして生まれた ・ 「天皇を長とする家族主義から、個人尊厳・真理と平和・個性豊かな文化の創造」 を前文にするようになった ・ 現在のグローバルスタンダードの教育基本法を、教育勅語に戻そうとすることは 如何なものであろうか