中性脂肪過多の人が増えている (心筋梗塞・脳梗塞ほかへの元凶) 
        
              主婦と生活社・中條やえ子著「中性脂肪が高い人が読む本」ほか より

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中性脂肪の過多による病気 と 中性脂肪の働き   中性脂肪の過多を減らす工夫
高中性脂肪血症とは
中性脂肪過多による病気 動脈硬化
  心筋梗塞・脳梗塞・脂肪肝・急性膵炎
 . 中性脂肪の働き
 エネルギーの貯蔵他
リポたんぱくで運搬
 . 食べ過ぎに注意したい食品
中性脂肪・コレステロール注意食
有酸素運動を週に3回するとよい
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  中性脂肪の過多による病気 と 中性脂肪の働き  (中條やえ子著「中性脂肪が高い人が読む本」より
   
■高中性脂肪血症とは :       
中性脂肪は体を太らせる・・・・・・ 高脂血症の人が近年急激に増加している ・ 食生活の変化、生活の便利化運動不足、アルコール増加などなどが原因として考えられる ・ 50歳以上の男性の1/2が、女性では1/3が高脂血症との厚労省報告があり、極めて高い数字です  
高脂血症はどのような病気?・・ 中性脂肪があなたの血液中に、お腹の周りにたまってきていませんか? ・ 日本人の3大死因、@がん、A心疾患、B脳血管疾患ですが、このAとBに高脂血症は関係しています ・ 高脂血症はAB合わせて死因トップの要因であり無視できません     
   2つのタイプがある・・・・・・・ 高脂血症は「血液中の脂質成分が異常に高い状態」を指しますが、「高中性脂肪」と「高コレステロール」の2つがあります ・ 両者はいずれも脂質ですが、体への影響も治療の仕方も違います ・ 従って何れが高いのか、何れを治療するのかを明確にしておく必要があります
   血液検査・・・・・・・・・・・・・・・ 「血清中性脂肪値」の高いのが「高中性脂肪」、「血清トリグリセライド値(TG値)」が高いのが「高コレステロール」です ・ 高脂血症の一般的な診断目安は下記です
  中性脂肪       (150以上)
  総コレステロール  (220以上)
  HDLコレステロール (40未満)・・・・末梢組織より脂質を肝臓へ戻す善玉
  LDLコレステロール (140以上)・・・末梢組織へ脂質を運ぶ悪玉
和菓子と洋菓子を食べ分ける・・ 高中性脂肪の人は糖質の多い和菓子の方を控えるように ・ 高コレステロールの人はバターや生クリームの沢山入った洋菓子の方を控えるように ・ といった風に違いがあります    
           
■中性脂肪の過多による病気 :        
中性脂肪で動脈硬化に・・・・・・・ 中性脂肪が血流内に多くなると、動脈の内腔を狭くなります。 狭くなってくると動脈が硬くなるので、その状態のことを動脈硬化と呼んでいます。 動脈硬化が進むと血流が悪くなっていきますが  最悪の事態で血流が停止状態となり、これが心筋梗塞や脳梗塞起こります。        
   中性脂肪 → 病気各種 ・・・ 心筋梗塞、脳梗塞は恐い病いですが、中性脂肪から他にも数多くの病気が発生します ・ 中性脂肪が高いと、次のような病気も心配になります ・ 脂肪肝、高尿酸血症(通風)、急性膵炎、善玉コレステロール(HDL)を減らしてしまう、肥満、糖尿病、間歇性跛行症、インスリン抵抗性症候群などなどへの危険性があるのです       
@ 狭心症と心筋梗塞の予兆 ・・ 狭心症は、動脈硬化により血管が狭くなって血流が悪くなり、心臓に痛みが生ずる疾患です ・ 胸が締め付けられるような感じで、首・顎・肩・歯などに痛みが伴うこともあります ・ 運動状態・興奮状態などのときに起こりやすいもので、安静にすれば収まりますが、危険なものなので早めの受診が必要です ・ 発作の時間は5〜15分ほどで、ほんの数秒というものは狭心症とは違うものと考えられます    
   狭心症多発で心筋梗塞へ・ 血管が完全に詰まり、閉塞状態になると心筋梗塞です ・ 心筋梗塞の症状は、胸痛で冷や汗や吐き気が伴い、立っていられないこともあります ・ 閉塞状態なので休んでいても痛みが収まりません ・ 痛みが長引く場合は救急車で専門医のいる病院への搬送が必要であり、3時間以内に処置ができれば回復が可能です ・ 狭心症の回数が増えたり、安静時にも発作がでるなどしてくれば心筋梗塞の前触れですので気をつけてください 
A 脳梗塞が増えてきている・・・・ 脳の血管障害を脳卒中といいますが、脳卒中は「脳梗塞」と「脳溢血」に分かれます ・ 高脂血症が原因となって起こるのは脳梗塞ですが、脳溢血も高血圧からとなりますので関係なくはありません ・ わが国では塩分取り過ぎから高血圧そして脳溢血が脳卒中のトップでしたが、血圧降下剤服用が進み脳溢血は少なくなって、今は脳梗塞が高脂血症・糖尿病の増加と相俟って増えてきています   
   一過性脳虚血症は前触れ・ 一過性脳虚血発作は脳内の血流が一時的にとまるもので、数分から1〜2時間で血流が再開するものです ・ 脳梗塞の一種で、意識がなくなったり、手足が麻痺したり、口が回らなくなったりします ・ 一過性の虚血発作の繰り返しは脳梗塞につながる危険性大ですので、精密検査が必要です 
B 脂肪肝は肝臓が脂肪太り・・・ すぐに利用されない脂肪は、内臓や皮下脂肪に貯えられますが、一部は肝臓にも蓄積されます ・ フォアグラはガチョウの肝臓を脂肪太りさせたものです ・ 健康な肝臓には5%ほどの脂肪がありますが、30%以上になると脂肪肝といわれます ・ 高脂血症と脂肪肝の直接的な因果関係はないのですが、いずれも運動不足・過食などが原因で併発が多いとのことになります 
   アルコールと糖質取り過ぎ・ 高脂血症も脂肪肝も原因の大半は、過食やアルコールの取り過ぎです ・ 特に男性はアルコール、女性は糖質の取り過ぎが多いのです ・ 脂肪肝は超音波検査で肝臓が白く写ります ・ 脂肪肝自体は危険性の少ない病気ですが、高脂血症・糖尿病が隠れているとのことで注意が必要です  
C 急性膵炎から膵臓障害注意・ 膵臓は胃の後ろにある小さな臓器ですが、消化酵素を十二指腸へ流し込み、糖質・脂質・たんぱく質などの消化に、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌し血糖値の安定化に、重要な働きをしています ・ 高中性脂肪血症から急性膵炎を起こすこと心配があります ・ 増加した中性脂肪が、大量の脂肪酸とリゾレシチンになり、膵臓の組織を痛めつけてしみます   
   油の多い食品の多食注意・ 急性膵炎は、アルコールの多飲や、油の多い食品例えばうなぎやてんぷらなどを食べ過ぎたときなどに見られます ・ 胆石のある人や、胆のう炎の人などによく起こりますので要注意です ・ 痛みが上腹部のやや左よりに現れ、背中に響くような重い感じです ・ そのような場合、CT検査や血液検査が必要になります  
D 糖尿病・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 糖尿病はインスリンの不足・作用不足により血糖値が高まる病気です ・ 糖尿病は、腎症・網膜症・神経症・高血圧・心筋梗塞・歯槽膿漏・肺結核・膀胱炎などなどの合併症を起こす恐い病気です ・ 糖尿病の初期状態では自覚症状がなく、食欲旺盛で病気のようにはみえません ・ 発症してから15年・20年経って合併症が出てくるのが殆どです  
   高脂血症とで動脈硬化加速 インスリンが不足してくると、血中の中性脂肪は細胞に貯蔵されにくくなり、中性脂肪は高中性脂肪血症となって残ります ・ 高中性脂肪血症も糖尿病も動脈硬化を進めますので、両者があると血管は悲鳴状態です ・ その他両者の間での合併症は多くありますので、要注意です   
E 通風 (高尿酸血症) ・・・・・・・ 血液中の尿酸値が高いため、激しい痛みが関節に起こります(足の親指のつけねが最も多く、他にも足首・ひざなどが痛むことがあります) ・ 発作は突然におこり、半日か一日で関節が腫れ上がります ・ 放置でも1週間後には痛みは収まりますが、2〜3年後再発作する可能性大です ・ 患者の9割が男性、女性ホルモンには尿酸値を下げる効果がある 
   高中性脂肪の人に「多い・・ 通風患者の50〜80%の人が高中性脂肪血症 ・ たんぱく質の過剰摂取、肥満、アルコール多飲など原因に共通点があることと、両者とも遺伝的であるからです    
F 間歇性跛行症・・・・・・・・・・・・ 片方の脚をひきずるようにして歩く、間を置いてときどきある ・ 下肢の筋肉が痛いのでときどき休まねば歩けないというものです ・ ふくらはぎや腿が痛くなります ・ その際その部分から脚の先までが冷えて青白くなるケースが多々あります ・ これは脚の動脈硬化で起こるもので、ひどい場合には腐っていきます
   動脈硬化が進んでいる・・・・ この病気は動脈硬化が進んでいるもので、高血圧、高脂血症糖尿病などを併発している可能性があります       
           
■中性脂肪の働き :         
中性脂肪でエネルギーを貯蔵・・ わたしたちは身体を維持する、動かすエネルギー源として、炭水化物(糖質)やたんぱく質、脂質(脂肪)の三大栄養素を食事から摂取しています ・ 食事から取った脂肪分は膵リパーゼという酵素の働きによって小腸で分解され、中性脂肪となって血管をとおり体の中へ入って行きます ・ また炭水化物やたんぱく質もエネルギーとして消費されなかった場合、多くが肝臓で中性脂肪へ変換され体内に蓄積されます ・ 中性脂肪は1グラム当たり9キロカロリーの高エネルギーをもっています ・ ちなみにたんぱく質・炭水化物の状態では1グラム当たり4キロカロリーですので、中性脂肪はエネルギーの高密度蓄積物です
   基礎代謝低下で脂肪太り・ 中性脂肪は脂肪細胞に入り込み体脂肪となって蓄えられますが、その脂肪細胞内の中性脂肪の量(体脂肪)が過剰になると、肥満になります ・ 人間のエネルギー消費は、生命活動だけで消費する基礎代謝と、運動によって消費する活動代謝に分けられますが、この基礎代謝量が年をとると低下してくるので、中年になると太りやすくなるのです ・ 太っていく理由は、基礎代謝量の低下であって、それにより体脂肪、中性脂肪の貯蓄量が増えすぎているのです  
中性脂肪は心臓を動かす・・・・・ 筋肉を動かすエネルギー源は糖質と脂質ですが、心臓の筋肉も中性脂肪が分解されてできる脂肪酸をエネルギーにして動いています ・ ちなみに脳のエネルギーは糖質の1つであるブドウ糖です        
中性脂肪は臓器を守る・・・・・・・・ 中性脂肪は内腹部と皮下脂肪となって分布していますが、これらは体にとって重要な役目をしています ・ エネルギーの貯蓄はもとよりですが、それに加えて臓器を外圧から、冷えから守っています ・ 心臓・脳・肺などは骨によって外圧から守られていますが、胃や腸、腎臓などは皮下脂肪によって守られています ・ 皮下脂肪などは内臓を外圧から守り、保温する役目も果たしているのです   
リンク集         
    エネルギー源中性脂肪・・        脂質・たんぱく質・炭水化物のどれを多く食べればよいか 
           
■血管内での中性脂肪の動き :         
リポたんぱく・・・・・・・・・・・・・・・・・ 三大栄養素(脂肪、糖質、タンパク質)の一つである脂肪には、中性脂肪、コレステロールやリン脂質、遊離脂肪酸などがあり、これらは血液に混じって全身に運ばれます ・ 血液は水分、脂肪は油、両者は溶け合いませんので、油はどこかに浮いてしまい運ぶことができません ・ そこで血液になじまない脂肪を、水になじむたんぱく質とりん脂質で包んで送るようにしているのです ・ 血液中のその饅頭の皮をした運送用のパックを「リポたんぱく」といいます ・ 饅頭のアンが脂肪であり、コレステロールです ・ リポたんぱくには4種類があって、その比重に分けられています 
  1. カイロミクロン         :中性脂肪84%・コレステロール7%・リン脂質7%
     たんぱく質2%であり、小腸から肝臓へ脂質(中性脂肪)を運ぶ
  2. 超低比重リポ蛋白(VLDL)  :中性脂肪54%・コレステロール19%・リン脂質18%
     たんぱく質9%であり、肝臓で合成され、血液に乗って全身へ分泌されます
  3. 低比重リポ蛋白(LDL)    :45%がコレステロール、22%がリン脂質、
     22%がたんぱく質、11%が中性脂肪であり、肝臓から末梢組織への運搬役
     余ったコレステロールを血管の壁に残すので、悪玉コレステロールと云われます
  4. 高比重リポ蛋白(HDL)    :50%がたんぱく質、22%がリン脂質、
     18%がコレステロール、10%が中性脂肪であり、動脈壁からコレステロールを
     掃除し、肝臓へ送り返してくれるので、善玉コレステロールと云われます
   コレステロールも脂肪・・・・・  コレステロールは、中性脂肪と同様、脂肪の一種で、食べ物から摂取するほか、肝臓でも常に合成されています ・ LDLコレステロールは末梢組織に運ばれ、細胞膜やホルモンの材料になります ・ 余り過ぎたものが悪玉で、血管内に残ってしまいます      
           
           
  中性脂肪の過多を減らす工夫   (法研・山田信博著「中性脂肪・コレステロールを自分で改善」より)        
           
■食事療法 :  
食べ過ぎに注意したい食品・・・・ 中性脂肪やコレステロールを減らすための基本療法は、食事と運動です ・ なかでも一番影響のあるものが食事療法です ・ 食べ過ぎが最大の原因ですが、脂質や動物性たんぱく、炭水化物、お菓子や甘いものの取り過ぎなどが影響をします   
   炭水化物・・・・・・・・・・・・・・・ 糖質には、ご飯やパンなどに含まれる複合糖質とお菓子や果物に含まれる単純糖質とがあります ・ 単純糖質は体内での吸収が早く、直ぐに中性脂肪に変わります ・ 摂取エネルギーを減らすには主食を減らすことからと考え勝ちですが、エネルギーの60%は主食からとっているのでこれはしっかりと取りましょう ・ 果物は糖質が多いので要注意です ・ 炭水化物の多い食品一覧 ・ 炭水化物ダイエットとは  
   脂質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 脂質には、植物油やバター・マーガリンのほか、肉や魚にも含まれています ・ 肉では脂身や鶏の皮などに多く含まれています ・ 植物性や魚類から脂質を多く取るようにして、全体エネルギーの25%を脂質からとるようにしたいものです ・ 脂質の多い食品一覧    
   たんぱく質・・・・・・・・・・・・・・ たんぱく質には植物性と動物性がありますが植物性は主には大豆製品です ・ 動物性は肉類・魚類・玉子と乳製品です ・ 植物性と乳製品とで、エネルギー全体の20%を摂取できるとよいでしょう   
   アルコール・・・・・・・・・・・・・ アルコールは、脂肪分のない食品(例:塩分)をも中性脂肪にしてしまいます ・ 人により違うので1日の安全な量というのはありませんが、要注意の人であれば2日に1合ぐらいであると思われます ・ アルコール飲食のときは食べ過ぎが問題なので、飲む前につまみの量をきめておけるとよいでしょう ・ ご飯1膳減らすのでアルコールを1杯増やそうとか、明日アルコール休むので今日沢山飲もうとか、この緩みがよくありません ・ 取り過ぎのアルコールが中性脂肪を増やします
食べ過ぎはこうして防ぐ・・・・・・・ @ かさのある食材を選ぶ: カロリーが少なく、かさの大きなものを選ぶ
A 見た目を増やす: 皿の数などを増やしたり、大きな器に盛り付けたりする
B 時間をかけて食べる: 会話をしながらでもよい、よく噛んでたべる
C 腹八分を常に意識する: 昔からの大切な健康法
D 規則正しく食べる: 食事時間くるまで、空腹を抑えられるようになる       
高脂血症タイプ別での食事         
   LDLコレステロール高い人・ @ 肉が好きで、魚・大豆製品が少ない (肉を週2〜3回に減らしましょう)
A てんぷらや炒め物で多量の油物を食べる人 (野菜・煮物・焼き物を増やしましょう)
B チョコレートやアイスクリームが好きな人 (毎日はよくありません)
C 卵を毎日食べている人 (コレステロールが多いので要注意です)       
   中性脂肪値が高い人・・・・・ @ お酒をよく飲む人 (飲む回数を減らしましょう)
A 甘いものや果物をよく食べる人 (果物の取りすぎに注意、特に夕方以降は取らない)
B 外食が多く、しかも単品で済ませてしまう (脂質の取りすぎが考えられます)       
           
■運動療法 :                 
無理なく長く続けられる運動を・・ 運動には、「無酸素運動」(筋力UPする運動)と「有酸素運動」(肺活量、心臓を強くする運動)とがあります ・ 無酸素運動はバーベルなどで、有酸素運動はウォーキング・水泳などです ・ 中性脂肪を減らすには「有酸素運動」を行うのがよく、酸素をゆっくり取り入れて少し汗ばむ位にします ・ 「有酸素運動」は中性脂肪を多く消費しますが、その際酸素も使われるので「有酸素」と呼ばれます  
   有酸素運動を週3回・・・・・・ 運動はある程度回数をしないと効果が出ません ・ 毎日が無理なら2日に1度、それも無理ならばせめて週に3回は行いましょう ・ 運動で生じた効果は2〜3日で低下してしまうので、少なくとも3日1度運動をするようにしたいものです