ロシアの文化・くらし (宗教・教育・生活・ウォッカ・バレエ・音楽・美術)  
        
                  

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ロシアのくらしと文化 ロシアの美術
民族問題と宗教
教育環境世界一を目指す
くらし(自給自足がベース)
 . あらゆる場面でウォッカウォッカ
ロシアのバレエの歴史と魅力
熱意溢れる音楽教育
 . 古典主義時代・ロマン主義時代
リアリズム時代・転換期時代
エルミタージュ美術館・エカテリーナ宮殿
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  ロシアのくらしと文化   (中経出版 小林和男著 「ロシアのしくみ」より)     
民族問題と宗教 :         
民族と宗教の問題は複雑・・・・・・・・・・ 人口1億4千600万人のうち、81.5%がロシア人 ・ 続いてトルコ系のタタール人3.7% ・ ウクライナ人が2.9% ほか100以上の民族が暮らしている ・ 宗教はロシア正教のほか、イスラム教やラマ教などを内包している ・ ペレストロイカ以降、各派が独立要求をするなどあって、民族問題は連邦制度の崩壊へのアキレス腱になっている
    チェチェンの歴史・・・・・・・・・・・ ロシア連邦を構成する共和国であるが、ソヴィエト連邦解体後、チェチェンの独立を求める武装勢力とロシアへの残留を主張するチェチェン人勢力との間で、いまも紛争が続いている ・ プーキシン(ロシアを代表する詩人・反体制派・チェチェンの勇猛な地元の人たちが題材になった) ・ チェチェンとともに新生ロシア連邦に加わらなかったのが、同じイスラム系のタタルスタン ・ 連邦政府と権限分割条約を結び、対外経済活動などを独自に動かしている ・ しかしチェチェンは完全独立を要求している 
多宗教国家の実態・・・・・・・・・・・・・・・ ロシアには100以上の民族がおり、宗教も多彩 ・ ビザンチン帝国以来の東方教会の流れをくむロシア正教 ・ タタール人・バシキール人・コーカサス系諸民族2000万人が信仰するイスラム教 ・ カスピ海沿岸やモンゴルに隣接する部分で多い仏教 都市部やロシア極東にはユダヤ教徒もいる などの多教がある ・ ソヴィエト時代は宗教はアヘンと同じように禁止された ・ 共産主義崩壊後には心の拠り所として、宗教が復活、上記のほかにもさまざまな宗教、神秘教団・原理主義、あるいは新興宗教も入ってきました ・ オウム真理教も入ったが地下鉄サリン事件以降禁止、新興宗教規正法も成立した
     宗教は生活に根ざすてきた・・・ ロシア正教では1月7日がクリスマス(ロジジェストボ) ・ 春の祭り(マースリニツァ) ・ 復活祭(パスハ)などのときに、教会に集まって礼拝をしたり、家庭でご馳走を作ったりしてお祝いをするようになった ・ イスラム教では、地域によって異なるが、コーランで禁じられている豚肉と飲酒を食べるものもいますし、断食(ラマダン)も広まっていません    
■教育と環境 :          
教育改革世界一をめざす・・・・・・・・・・ ロシアの教育は、かっては国家をあげて宇宙開発とバレエとともに「世界一」を誇っていたもの ・ ソヴィエト崩壊後、「脱共産化」「脱イデオロギー化」が教育改革のベースになり、私立の教育施設が多く登場した ・ 現在のロシアの教育分野は、2000万人が学ぶ通勤教育の学校が設けられ、生徒と教師を合わせると国民総人口の1/4が教育関係に携わることになる ・ かっては高等教育まで無料であったが、現在は半数が有料教育になってきている     
     いじめ・登校拒否はない・・・・・ 学校でのいじめ・登校拒否・自殺などは、ロシアではない ・ その背景は、日本社会の「集団主義志向」に反し、「個人主義志向」「個性のある人間作り」を目指しているからである ・ 「皆とは違う」「目立つ」人間は「個性のある人間」として好かれ、「出る杭は打たれる」に反し、「自分が自分の主人」というロシアの言い方があるほどに個人が尊重される ・ 自分に自信のある社会人を育てることが教育理念として重視されるようになってきている 
広大な自然を愛する国民である・・・・・ ロシア人はロシアのことを「シェストイ・シャル」(地球の1/6)と呼んでいる ・ 周囲に広々とした空間があって気持ちが安定するのだといいます ・ ロシア人は森や湖などで、狩をしたり・森林浴をしたり、キノコなどを探したりで暮らすのが大好きな民族なのです ・ ロシアの文学にも、猟や自然との交流に関するものが、続々と登場している
    しかし環境問題は遅れている・・・ ソヴィエト時代には「環境は自然で改造できる」との間違ったスローガンのもと、工業化が進められ、ロシア全体の15%の土地が環境破壊を受けるほどになった ・ 環境が社会問題として取り上げられるようになったのは、ゴルバチョフのペレストロイカ以降である ・ その時期には環境問題が、対策が進められたのだが、昨今はまた経済危機とのことで、環境に対する関心が薄れてきている ・ 環境未整備のままである    
             
■くらし(自給自足がベース) :     
人口動態に懸念あり・・・・・・・・・・・・・・ ロシアの人口は1億4選500万人で、日本より若干多い程度 ・ ロシアの人口は1992年以降大きく減少しており、このまま行くと、15年後には2200万人減少するとプーチンは警告を発している ・ そこで最も懸念されていることは、平均寿命の低下(男性61歳・女性72歳)である ・ その背景には社会の混乱(殺人・自殺・事故・災害)、経済の衰退、生活レベルの低下(アルコール中毒・不規則な食生活・心臓病)があるとされる      
    高齢化と少子化が進んでいる・・・ 老齢人口の構成比も悪く、日本の16.2%(1998年)に対し18%(1999年)になっている ・ 出生率も日本の1.38に対し1.24と低くなっている ・ 女性が子供を産みたくない理由としては、社会不安や生活レベルの低下などが上げられています ・ 離婚率も50%と高く、その理由が夫のアルコール・不倫などとなっています      
モスクワは特別の存在・・・・・・・・・・・・・ モスクワは国民人口の6%、それであって企業や銀行などの30%がモスクワにある ・ 一方地方はシベリアとの飛行時間10時間、時差もロシアには11もあるなど、通信・交通も難しいところがあり、経済の伸びも遅れている ・ こうした中、モスクワへの住民登録要望が多いのだが、それが非常に難しい ・ チェチェンなどのテロ対策で厳しいのだとしているが、864万人の人口を増やさない政策のようです    
自給自足で生きている・・・・・・・・・・・・・ ロシア人の最低生活費は、月額で34ドル ・ ロシア政府は、この水準以下で国民の1/3は生活をしなければならないと発表している ・ このような低賃金で何故生きていけるのか?・・・それは、「ダーチャ」があるからです ・ 「ダーチャ」とは、小さな畑を備えた郊外の家のことであり、野菜をつくる、生活にかけがえのない場になっています ・ ロシアの食料の50%は、このダーチャで作られているといわれます  
              
■風俗習慣 :              
あらゆる場面でウォッカ・ウォッカ・・・・・ ロシアでの酒の飲み方は、会社の帰りにチョッと一杯などとではなく、徹底的に豪快なロシア式の飲み方 ・ 寒いからウォッカを飲むというわけでもあり、友人にあったときも、風邪を引いたときも、必ずウォッカ登場です ・ ウォッカはオンザロックにしたりではなく、小さな杯でストレートに飲みます ・ 飲み干したら直ぐ「ザクースカ」を食べるのです ・ 「ザクースカ」は豚の塩漬けの豚の塩漬けなどの肉・チョウザメなどの魚・酢漬けのキャベツなどの野菜などなどのものです ・ ニシンもウォッカの突合せによくでる 
    ウォッカでの礼儀作法・・・・・・・・ これには数え切れないほどあるが、特に注意した方がよいものは:@酒をついでもらうときには、グラスはテーブルの上に置いたままにすること ・ A空瓶は即片付けます ・ B右手で左側に傾けて注ぐこと・反対側に傾けて決闘沙汰になったことがあると言い伝えられています      
    ウォッカの歴史・・・・・・・・・・・・・・ ロシアは風土に恵まれずブドウなどは余りできない、しかしウォッカに必要な小麦と水は有り余るほど昔からあった ・ ロシアの大化学者メンデレーエフは19世紀の終わりに、蒸留酒を人間体温36.6℃に近づければ近づけるほどそれが飲みやすくなることをつきとめた ・ 身体を暖めるには40℃がよいとも示した ・ ウォッカのブランドは「ストリーチナヤ」・「スミルノフ」・「グジェルカ」などなどです ・ Wikipedia「ウォッカ」    
ロシアのお祭り・祝祭日・・・・・・・・・・・・ ロシアの祝祭日 ・ ロシア人は楽しいことがあると踊る ・ ロシア正教の習慣と土着の習慣       
              
■音楽とバレエ :            
ロシアバレエの歴史・・・・・・・・・・・・・・・ バレエ超大国と云われたソヴィエト時代が崩壊したが、今尚ロシアのバレエは魅力的 ・ ロシアのバレエは260年前、フランスから学んだもので、帝政ロシアの首都サンクトペテルブルグで生まれた ・ 18世紀後半にモスクワとサンペテルブルグに、ボリショイ劇場、マリインスキー劇場が誕生、両劇場でバレエとオペラを競い合っている      
    ロシアのバレエの魅力・・・・・・・・ 32回転を披露した女性ソリスト(アンナバブロア)の「瀕死の白鳥」がロシア古典バレエの始まり ・ ソヴィエト時代にバレエはトップからの押し付けなどあって磨かれていった ・ 1943年「20世紀の奇跡」と云われたマイヤ・プリセッカヤは全ての作品の主役を踊りアイドルとなった     
輝かしい歴史のクラシック音楽・・・・・・ ラフマニノフ、ショスタコーヴィッチ、プロコフィエフ、チャイコフスキーなどを輩出したロシア ・ 18世紀の前半ピヨートル大帝が働きかけた文化の西洋化がきっかけで誕生した ・ チャイコフスキーのオペラやバレエ、ロシアの民話と舞台のコルサコフとボロディンの作品、ラマニノフの交響曲、ショスタコーヴィッチとプロコフィエフの傑作は貴重な世界遺産になっている    
    熱意溢れる音楽教育・・・・・・・・・ 日本も同じだが、クラシック音楽が大好きで、特にピアノ音楽は人気が高く、所得の低い家庭でもローンでピアノを購入し子供に習わせている ・ 130年の歴史を持つモスクワ音楽院は、チャイコフスキーやショスタコーヴィッチなどが教授を務め、有名な卒業生を多く輩出している       
   
■ロシアの美術 :  国立ロシア美術展より         
    古典主義時代(18世紀後半)・・・ ピョートル大帝はヨーロッパ諸国を回り、すべての分野で西欧に追いつくこうとしました ・ 美術・文化もその一つです ・ バロック、ロココ、古典主義、ロマン主義など、400年以上もの間のヨーロッパ美術がで流れ込み、18世紀から19世紀前半にかけてロシアで根付く一方、ヨーロッパのものとは明らかに違う絵画が描かれました ・ ロコトフやレヴィツキーなどにより、自由に生き生きとした肖像画などが生まれました         
    ロマン主義時代(19世紀前半)・ ロシアの美術界は1757年設立の美術アカデミーがリード ・ 1850年代頃までは、ロマン主義の作品多く ・ ロマン主義からリアリズムの要素が感じられる風俗画、ヴェネツィアーノフやフェドートフが出てきました ・ 皮肉なニュアンスを込めますが、人々への「同情」、社会への「怒り」を表現しました ・ アイヴァゾフスキーは大海原と人間のドラマを描き、6,000点もの絵画を描きました        
    リアリズム時代(19世紀後半)・・ 19世紀後半のロシア文化は、文学ではトルストイ、ドストエフスキー、ツルゲーネフらが、音楽ではムソルグスキー、チャイコフスキー、ラフマニノフが、そして絵画では、レーピン、クラムスコイ、シーシキンらが活躍しました ・ 寓意画、神話画を中心に教会の壁画、装飾絵画、富裕層を対象としたサロン絵画が支持されました ・ 1870年、ゲー、ペロフらが、移動展を始め、現実の社会生活を描きましたが風俗画、生活画、風景画などを結びとことんリアリズムを追求しました         
    転換期時代(20世紀初頭)・・・・・ ロシア絵画はリアリズムが特徴的ですが、その19世紀後半を「金の時代」と呼びます、20世紀初頭の絵画「銀の時代」と呼んでいます ・ そして20世紀初頭にはロシア的リアリズムを捨てられるようになり、ロシア固有の色彩、フォルムが生まれました ・ それは「具象」から「抽象」への入り口であり、「ロシア・アヴァンギャルド」、そしてロシア国内にとどまることなく「世界」へと出て行きました         
       
   
リンク集 :・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ エルミタージュ美術館 ・ エルミタージュ美術館の歴史と特徴 ・ エカテリーナ宮殿 ・ エカテリーナ宮殿琥珀の間