郵政民営化(2) 巨大企業の脅威・課題・ジレンマ 
        
                                               (朝日新聞 より

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巨 大 故 の 六 つ の 課 題
リンク集
@ 運用資産が大き過ぎての課題
A 国債保有が多く、利益率が低い
B 人事に偏りがある・三井住友多い
 . C 特定・簡易郵便局の減少・僻地不便
D 素人局員のリスク商品説明では不安
E 郵便局員の不祥事が過去多かった
 . 提携事業
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  巨大故の 六つの課題   (朝日新聞9月27・28日より)  
■郵便・銀行・生保とも「業界トップ」 :         
国内金融の半分の規模・・・・・・・・ ゆうちょ・かんぽの運用資産は郵貯が188兆円、簡保が110兆円で計約300兆円 ・ 国内銀行・保険会社の半分近い規模である ・ うち200兆円は国債で運用されている(全国債発行高の3割を郵政で占めている) ・ この国債を株式・為替上で動かすと国内国債は大きな変動影響を受ける
   課題1:運用資産大き過ぎ・・ 運用資産が余りにも大きく、下手に動くと国債破綻を来したりしてしまうので、容易には動けない ・ 巨大過ぎるジレンマがあり、動かないのではと大方はみるが不気味ではある   
     生保協会が懸念し警告・・ 尚且つ持株会社の「日本郵政」の株は、最終的に国が株式の3分の1を持つことになっている ・ 2つの金融会社は巨大な上に政府のバックアップがある ・ このバックをもって日本郵政の金融2社が新規事業参入、変額年金や医療保険などの販売を計画することは、民間保険会社と同競争条件でなく、新規事業拡大を認めるのは尚早とクレームをつけています(日米の生保協会)        
     各企業の規模・比較・・・・ 日本郵便:宅配便引受数/年2.7億個(ヤマト運輸11.7) ・ 郵便局会社:店舗数2.4万店(セブンイレブン1.2) ・ ゆうちょ銀行:預金残高187兆円(三菱東京UFJ、100) ・ かんぽ生命保険:総資産残高116兆円(日本生命、52)   
               
■利益率向上へ市中銀行と提携 :         
課題2: 低利益率 ・・・・・・・・・・・・ ゆうちょ銀行の11年度の実施計画では、経常収益2千2億円に対し当期利益3千億円で利益率13.8%と想定する ・ 東京三菱UFJ銀行の18.3%よりも低い ・ しかも金利が年4%に上がると,保有している国債の価格が下がり,利益率は2.1%へと下がる     
   体質改善に新規事業が要・・ 協調融資への参加・住宅ローン・変額年金などが候補になっている 
     住宅ローンでの提携発表・ 来夏にはスルガ銀行の住宅ローン商品を販売 ・ 将来には返済能力の低い自営業者や独身者などに貸し出す ・ 一般銀行から借り難い人達への救援策になるが、リスクに応じた金利設定をしたいとしている ・ 全国銀行協会は、郵政のやり方は米国のサブプライムローンだと批判し,新規事業への参画に牽制球を投じているが、スルガ銀行のようなこともあり、足並みは乱れている   
課題3: 人事に偏りがある・・・・・・・ お役所体質の一掃で民間のノウハウ吸収が必要である ・ 民間企業からの人事移動、民間との業務提携が進んでいるが、三井住友グループへの偏りが目立っている ・ 郵政グループの取締役ポスト33のうちの6つ(20%)が三井住友グループである ・ 旧富士は2人、みずほは0 ・ ゆうちょ銀の経営企画室長は住友信託銀行である ・ 実際、新規事業でも、クレジットカードや変額年金の提携先候補に三井住友系企業が目立っている  
   各社長の出身企業・・・・・・・・ 日本郵政:西川社長(三井住友銀行) ・ 郵便事業会社:北村社長(トヨタ自動車) ・ 郵便局会社:川社長(イトーヨーカ堂) ・ ゆうちょ銀行:古川社長(三菱商事) ・ かんぽ生命保険:進藤社長(旧東京海上火災保険)     
       
■変わる顧客サービス :   
課題4: 特定局・簡易局リストラ・・ 郵政公社はこの5年間に、全国4696の郵便物集配所のうち1048局の集配をやめた。         
   民営化で僻地金融不便に・・ 今まで郵便配達局員が郵貯の払い出しや預入れを頼まれれば通帳を預かり行っていたが、これも出来なくなった ・ 民営化後、郵便事業会社に所属する配達員は金融業務ができず、ゆうちょ銀、かんぽ生命の外務員が訪問する ・ 僻地の人々は困っている 
   赤字の集配局が多い・・・・・・ 郵便局や郵便事業のネットワークは、民営化後も全国一律が義務付けられている ・ ヤマト運輸は集配所を増やし、2007年3月には3675個所になり郵便局数を上回った ・ 大半の郵便局は赤字、益々経営が難しくなっている ・ 特に深刻なのが外部委託で運営されている小規模な簡易郵便局で、現在4300局のうち300局が閉鎖になった   
課題5: リスク金融商品の販売・・ 郵便局での投信の販売が伸びており、8月末に累計1兆円を突破した ・ 低金利と、投信取り扱いの多数の郵便局(1552局)のあることが背景にある ・ 郵便局での手数料収入を増やすため、金融商品の窓口販売はこれからも増えていく
   政府保証付だと勘違い?・・・ 投信の販売にはリスクがある ・ だが顧客は政府保証付の「貯金」に慣れている ・ 元本割れの恐れのある投信などの商品が郵便局になじむかは不透明である ・ 顧客へのリスク説明がどのように出来るかが課題である
   郵便局には素人客が多い・・ 郵便局への顧客の中には、契約書を局員が代筆する例も多い ・ 投信を販売して2年になるが、不手際の報告が500件にもなっている     
課題6: 局員の不祥事が続発・・・ 06年懲戒処分2859件、05年より26%増加 ・ 顧客資産の横領など100件/年を超える ・ 簡易保険では違法な「無面接募集」が大量発覚、総務省から2度もの厳重注意指導を受けている
   監査体制強化するが・・・・・・ お役所仕事に慣れた職員に新たなサービスができるか ・ 西川社長の対策の考え「1年で全郵便局を監査、及第しない局は再監査する ・ 2度落第したら配置転換させる」  
   民間と同じ刑罰適用へ・・・・・ 10月以降、金融2事業は金融庁が監督する ・ 民間と全く同じ取り扱いとなり、投資家保護へ金融商品取引法も完全施行される    
       
■リンク集 :     郵政民営化はあらゆる改革につながります(小泉) ・ 郵政民営化に自民党は兆戦します 
金融事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 郵政完全民営化スケジュール ・ 競合政策上の問題点(公正取引委員会) ・ 郵政見なおし議論動き出す ・ 郵政民営化ニュース
   ゆうちょ・かんぽの提携・・・・・ 銀行協会の歩調に乱れ(スルガ銀行が住宅ローンでゆうちょと提携) ・ その他地銀10行は提携を拒否 ・ カード業務をJCBなど2社と提携、変額年金保険は住友生命          
   ゆうちょ・かんぽのサービス・・ ゆうちょ独自のクレジットカード開発へ      
郵便事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 郵便局はどう変わる ・ 郵便局民営化についてのリンク集 ・ 郵便をめぐる諸外国の動向 
   郵便事業の提携・・・・・・・・・・ JR東日本と提携し駅に簡易郵便局設置検討 ・ 郵便事業を日本通運と提携 ・ 三井倉庫・ローソンなどとも提携