円が弱くなってきている ・ 認識不足こわい ・ 縮む日本どうする 
        
                  (日本経済新聞1月特集記事 より

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縮 む ニ ッ ポ ン の 現 状
ニッポンの今なすべきこと
BRICSへ大量の富が移動
気がつけば日本は途上国
日本人による海外投資増加
 . 取引技術の遅れも心配
魅力のある国になっていない
日本失望の訳(海外メディア評)
 . 内向き志向が脚を引っ張る
日本企業に欲しい投資熱
リンク集(経団連ほかの提言)
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  縮むニッポンの現状   (日本経済新聞1月の連載より)  
■BRICSへ大量の富が移動した :         
ロシアなどBRICSが強くなった・・・・ 10年前ロシアルーブル危機のとき、ルーブルでは物が買えずロシアの経営は混迷にあった ・ 経営、生活には円が貴重であり、円が強く、ルーブルでは物が買えず、日本からの輸入には円が必要であった ・ しかし10年後の今、ブラジルほかと同様ロシアも資源高で潤っており、ルーブルが力をもち円が下落した ・ 日本食店では1250ルーブル(6千円のステーキ)が次々注文されるようになった ・ 東京にあるホテルには、1泊100万円も出しての泊り客がロシアなどの石油国から多いという       
   ヨーロッパも強くなっている・・ ODA(日本の政府開発援助)の額は、80年代円高もあって10年連続1位であったが、現在は米英に次いでの3位である、更に2年後には6位に転落するものとみられる ・ 円安、ユーロ高で欧州が更に力をつけている ・ 今ロンドンへ日本人が行って困るのは、地下鉄初乗り運賃が約1000円、外食代が平均9000円にもなることである   
   中国の人民元が強い・・・・・・ 中国人が海外へ自由に持ち出せる外貨は1回の旅行で5千ドル(56万円)であるが、中国のカード(銀聯カード)が日本で利用できるので、実際は日本で無制限での買い物ができる ・ バブル期の日本人のように中国人の海外での買い物が増えてきている ・ 中国人は昨年10月の国慶節の休暇のとき、海外で220億円の買い物をしたという ・ 日本でも将来、一気に人民元が表舞台に登場する可能性がある ・ 日本人は円以外を使うことに慣れていないが覚悟もいる      
日本は国際競争に負け出した・・・ ITインド人の採用市場で、最近産油国など筆頭に外国企業に負けることが多くなっている ・ 2008年5月に日本でアフリカ開発会議が行われるが、日本のODAが減額されて来たので、今だ会議出席希望国がないという ・ 諸外国での日本の力の衰えが目立つようになってきた
               
■気がつけば途上国 :          
グローバル価格と国内価格・・・・・ 現在内外の格差でグローバル価格と国内価格が異なるという二重価格形態がまかり通っている ・ 中古車などは国内は100万円前後でしか売れないが、輸出では新興国の急成長により200万円、300万円と値がつく ・ 高級婦人服などのブランド品を、バブル期日本人は買い捲ったが、今やユーロ高などで手が出なくなった ・ それでも求める者が多く、昨今ではブランド物の廉価版が出てきておりそれで我慢をするようになった
   駆って途上国で見た姿・・・・・ 途上国へ行ったとき、生活価格とわれわれ旅行者への価格に差があることに驚いたが、その状態がわが国にも起こり始めているのである ・ ブランド物、中古車などの高額品に二重価格が出ているが、ホテル価格も然りである ・ 一泊数十万円との外資系ホテルが増えており、日本の老舗ホテルは高級ホテルとは云えなくなってきている ・ とのことで日本のホテルは今、VIP宿泊のルームの増設が急がれている
    
■日本人による海外投資が増加 :   
海外投資で年金をとの人が増加・ 高齢者で海外投資をする人が増えている ・ 日本国内への株投資をやめ、BRICS・東南アジア・東欧などへ投資をし資産を2倍以上にした人がこのところ多い ・ 少子高齢化が進む日本、若者が次々と海外へ去り、国の借金も一向に減らない日本、株価上昇の期待はできないと、海外への投資が増えている
海外投資の斡旋・・・・・・・・・・・・・・ 「海外投資を楽しむ会」(投資情報出版社:有限会社オルタ・インベスト・コム)の会員はいう「国内投資は安心の時代は過ぎ去った、今は名も知らない国への投資が広がっている、投資安心の形が変わってきている」      
難民ジャパンマネーに懸念が・・・・ 故国を追われ難民となっているジャパンマネーが多い ・ 逃げ足も早く、投資先の国々は懸念を公表している ・ 高利回りの国々、南アフリカ・ニュージーランドへの投資が急増しているが、経常赤字を抱えながらの高度成長国だけに心配が大きい ・ 「安全投資でとの保守的な人の海外投資は危険である」とも「楽しむ会」では注意している  
海外への移住は夢の夢に・・・・・・ 1986年ユーロなどに対しても円高が進み、スペインなどへ移住して優雅な老後をと薦められた ・ 当時は2000万円の退職金と月額20万円の年金で、夫婦でゆたかに暮らせると試算されていた ・ それから約20年、400円で食べられた定食も、今では2倍以上 ・ 優雅な生活から程遠くなっている ・ 通貨の高い地域をさけて、オーストラリア・タイへと移住先も変わってはいるが、そちらも経済成長で通貨が高くなっており、日本人の海外移住生活は夢となってきている
       
■取引技術の遅れも心配 :   
金融取引コンピュータに遅れ・・・・ 株式の取引は今やコンピュータが行う時代、ナノ秒の時間差で勝負が決まる ・ であるのに欧米の速度10ミリ秒に対し、日本は200倍の2秒と遅れをとっている ・ 日本の投資家は世界に取り残されていると認識 ・ 先物取引も世界はこの6年3割増加であるのに、日本のそれは2割減、蚊帳の外になっている ・ 国全体金融立国へのコンセンサスが欠如しており、箱物ばかり作っているところが心配
排出権ビジネスも乗り遅れ・・・・・・ 金・ドル本位制が崩壊した1970年代以降、日米欧主要七カ国(G7)による世界政策協調の仕組みが機能した ・ しかし最近は中国など新興市場国の台頭でG7の地盤は沈下、21世紀の権力の重心が「C20」に移行しそうな気配がある ・ 世界20ヶ国代表による国連CDM(クリーン開発メカニズム)理事会である ・ 先進国が途上国で実施した温暖化ガス削減事業の成果を自国の削減分に算入する管理権限をもつ団体である ・ 日本の産業界は排出権取引に反対が多く仲々進まない ・ 世界排出権取引の8割はヨーロッパであり、排出権取引はユーロ建で行われ、権限も日本は弱い
               
■魅力のある国になっていない :            
仕送り鎖国の国・・・・・・・・・・・・・・ 日本で働くインド人、故国へ毎日仕送りをしているが、インド大手の銀行(ステイト銀)から送金している ・ 日本の銀行からだと送金手数料が毎回一万円もかかり、インドの銀行からだと4000円ですむから ・ しかしステイト銀行は東京と大阪にしかない、自国の銀行が日本にない国は手数料高いままになる ・ 日本は外国人労働者に門戸を開きつつあるが、送金については閉ざしたままだ ・ 日本の介護職員は40〜50万人不足すると言われており、その受け入れ体制の不備が心配される ・ 日本の銀行法に問題がある
介護受入れのハードル高い・・・・・ バンコクに澄む24歳の介護士は日本へ夢見て日本語も勉強しているが、日本政府は「タイ側の体制不備」を理由にタイからの介護士を認めていない ・ 「アジアマイル」というアジアの20カ国で使える共通電子マネーがあるが、民間の擬似マネーであり日本にはその主導権はない ・ ユーロのようにアジアでも共通通貨をとの動きはあるが、日本が存在感を示すためにはアジア近隣の成長力をどう生かしていくかがカギになる ・ ヒトモノカネを引きつける磁力が必要である
              
■ニッポン失望の訳 (海外メディアの評価) :           
企業文化・少子高齢化・・・・・・・・・ 「外国人投資家は日本を諦めている」の理由として、企業買収防止のためのポイズン・ピルを導入したこと、企業同士が株を持ち合っていることなどを挙げている ・ 「少子高齢化」「政治家が真剣な政策論争をしていない」なども理由として加えられている  
日本企業が成長できないのは・・・ 世界をリードする企業はソニーからアップルに代わった ・ その理由として、日本企業は純正部品でつくる自動車などは得意だが、常識を超えたことをやらないと説いている ・ それが出来ない理由として、年功序列のためITの知識の薄い層が管理職になっている、大学との技術交流が少ないなどと分析している 
自己認識が欠け危機にある・・・・・ 小泉改革が安倍内閣、福田内閣になって頓挫、福田政権は自民党の地盤沈下を防ぐのに手一杯、経済を構っている余裕がない ・ 企業改革・経済改革スピードが遅い    
       
   
  ニッポンの今なすべきこと   (日本経済新聞1/27〜1/29月の連載より)
               
■内向き志向が脚を引っ張っている :       
世界協調すべきときであるのに・・ サブプライムローンで世界が変調を来しているとき、世界の政策協調が最も必要 ・ サブプライムの影響が少ない筈の日本の株は何故下がるのか ・ 日本の株は外国勢の買いに頼っているが、日本には景気回復への牽引になるものがない ・ 製造業が伸びてはいるが、非製造業が伸び悩み、小売業が減退している ・ 日本にリードする力がない    
   改革のピッチが落ちた・・・・ バブル崩壊後の危機から脱して、国民・政治が慢心に陥っている ・ 参院選挙後に強まった内向き志向によって、外資の日本離れを加速している ・ 今ぞアジア地域との経済連携が急務であり、日本国内の構造改革が欠かせないとき ・ 企業の新規参入による農業改革、外国の多様な人材を受け入れる労働市場改革はまったなしのときである ・ 明確な路線を示し金融市場を活性化させる必要がある          
                   
■日本企業に欲しい投資熱 :         
成長の余地が大きいサービスへ 生産性が低いとされるサービス産業でも、新機軸によって成長の可能性が広がっている ・ 結婚事業のワタベ・ウェディングは中国へ進出し、年間千件以上の中国人カップルの挙式を手がけている ・ 金融・ネットワーク関連の世界への進出が少ない ・ こうした分野への投資が期待される
   政府のばらまきに期待するな 道路族や新幹線族が復活している ・ 社会保障も高齢者にあつく若者に冷たい ・ 75歳以上の医療制度が典型である ・ 小泉政権時代改革されてきた動きが今元に戻ろうとしている ・ 成長せず活力のない国にはお金も来なくなる ・ われわれの未来への思いが貧困を政治を動かせたらと思う  
                
■リンク集 :              
    日本経団連の政策提言 ・ 日本経済10%成長論 ・ その他リンク集