縮むニッポンの現状(つづき) と 日米の景気後退を検証 
        
                  ( 日本経済新聞・朝日新聞 より 

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縮むニッポンの現状   景気減速 7年目の正念場
急減速の米国経済
外資に助けられている
企業が逃げない環境整備を
円が弱く、外貨建が増加中
 . 原料高騰で景気が減速
株価低迷は政府にも責任
外需型企業は新興国へ続伸
 . サブプライム震源地の状況
自己資本比率と銀行の貸し渋り
リンク集:株価の近未来予測〜
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  縮むニッポンの現状 (つづき)   (日本経済新聞1月18日〜の連載より)
■外資に助けられている :         
燕市は七転び八起き・・・・・・・・・・ 燕市の産業は時代の波に揉まれてきた ・ 燕の強さの秘訣は江戸初期の和釘職人から受け継がれている ・ 明治に入り洋釘に押され、和釘職人はキセルや銅器に転職、それも後に紙タバコやアルミ製品に押されて転職、スプーン、フォークなどの洋食器に職変えした         
   今度は米アップルが救い神・ また東洋理化学研究所の例ではあるが、71年のニクソンショック以降洋食器が激減しテニスラケット、アルミホイールなどへ、85年プラザ合意で海外生産拠点へ生産が移りカメラボディなどに製品変えしてきた ・ その研磨技術が認められて現在は米国アップルからiPod用のプレーヤー研磨の注文が入って持ち直している ・ このように、燕市の企業は円高にいじめられてきたが、柔軟に事業転換をできるような体質になっており、へこたれず続いている   
日本はリスクへの投資が少ない・・ 1500兆円もの個人金融資産をもつ日本ではあるが、国内新興企業への投資はなかなかしない ・ その資産はアジアや中東などの新興市場へ流れている ・ そしてその一部が資金難の日本のベンチャー企業へ還流される構図になっている ・ 日本の投資家の外貨預金や海外投資信託は5割に達したが、国内新興企業への投資は2割に留まっている ・ この割合は主要先進国で最低である ・ 米シリコンバレーでは潤沢資金が集まるが、日本もそのようあらねば日本の今後が心配されるのだが
    東北大学舛岡教授の例・・・ 東芝でフラッシュメモリーを開発した舛岡は次ぎの夢である製品に100億円超の投資を頼んだが、どこの企業からも断られた ・ 救世主は意外なところ、アラブ首長国連邦ドバイ系の投資会社がその投資に応じたのだ ・ シンガポール政府系研究所の協力も決まった         
■企業が逃げない環境整備を :          
アジア地域の通貨・金融に配慮・・ 日本のアジア向け輸出も06年からドル建が円建を上回っている ・ 欧州向けでは7割弱がユーロ建である ・ グローバル企業においては為替リスクは高く、付加価値の高い技術はなかなか表に出し難い ・ さりとて円が日本が弱くなるのをとめるには、地域の通貨・金融の協力にとどまらず、税制・財政・社会保障なども国内だけでなくグローバルな視点で進めないとならなくなってきている  
   円と決別の企業が急増・・・・・ タイ・バーツ、マレーシア・リンギ、インドネシア・ルピア・・・ ・ 国際協力銀行が融資や社債などで日系企業に供給した現地通貨建資金は、550億円と増えている ・ 為替リスクを回避のため円と決別して資金の現地化を進めている企業が急増している の煽りもあり円が弱くなっている   
   船会社の船員は外国人・・・・ 商船三井はこの30年に、為替と闘い続けた ・ 海運会社の収入はドル建であり、84年プラザ合意以前日本人乗組員は2500人いたのだが、今は260人、96%がドル払いの外国人船員になっている ・ 1ドル60円にも耐え抜く準備である   
         
         
  景気減速 7年目の正念場   (日本経済新聞1月22日〜の連載より)
       
■原料高で景気減速 :   
住宅不振・振るわぬ消費・・・・・・・ 景気は回復基調を保ちながらも減速が鮮明になってきた ・ 住宅投資が急減し、設備投資が弱く、個人消費が冷えこんで、株価も下がりつづけている       
   景気減速の3つの要因・・・・・ @建築基準法も改正もあり、住宅建設が伸びない ・ 賃金が伸び悩む中、地価と資材の値上がりで販売価格が上がり、売れ残りが急増している ・ A原油・小麦・大豆高といった原料高により企業収益が鈍化している ・ 7月〜9月期の法人企業の経常利益が5年ぶりに減益に転じた ・ B米国の景気も後退している  
値上がりで消費が振るわない・・・ ガソリンや灯油価格の高騰に、食料品などの身近な商品の値上げラッシュが続いている ・ 消費者は無駄な出費を抑えるようになってきている ・ 酒類販売、クルマ販売、旅行など不要不急の支出が減り、逆に基礎的支出といわれる生活必需品の支出が増えている     
   PB商品が売れている・・・・・・ PB(プライベートブランド:自主企画)商品が伸びている ・ 西友の78円のPBカップめんセブンイレブンの一般市場より200円も安いPB商品の洗剤などが、従来ブランド品より数倍も売れている ・ このような生活必需品が伸びている ・ 所得が減っても、消費者が生活水準を落とさず支出を維持することを「ラチェット効果」というが、まさにこの嘆かわしい状況にある     
株価低迷は政府にも責任・・・・・・ 人口減が進む中、中長期の成長の道筋をつける構造改革が急務であるが、福田政権の成長戦略に具体性がない ・ 株安の背景には乏しい政局・政策にある ・ 福田政権は成長重視といいながらも政策は従来の焼き直し、または減速であり、改革のメッセージが余りにも弱い ・ 海外投資家が逃げている     
              
■外需型企業は好調なのだが :           
新興国への売上が伸びている・・・ トヨタのランドクルーザーが中東へ向かう輸送船につぎつぎと吸い込まれていく ・ 北米での輸出減を中東向けでカバーしているのは、自動車だけでなく、ロボットなど産業機械もである
    上場企業の海外売上高比率は、2003年に24%であったものが、2007年には30%に達した ・ 内需に依存した企業が軒並み減益のなか、輸出に勢いがある ・ しかし年明けから市場も激変しており、先行きに憂いがあり、収益・賃金交渉などが心配されている
   だが懸念材料も増えてきた・・ 昨年から自動車もロボットも商談に時間が掛かるようになってきた ・ 円高(一時104円)のリスクがあり、この輸出企業の牽引の追い風もやみかねない心配がある    
       
  
  急減速の米国経済   (朝日新聞1月31日〜の連載より)
  
■サブプライムの震源地の状況 :   
自宅失い、配給に長蛇の列・・・・・ カリフォルニア州ストックトン、無料で食料を配給する列には60〜70人が並んだ ・ パンや牛乳を1日に260人ほどが貰いにくる ・ ストックトンはサブプライム問題の震源地 ・ 昨年から本格化したサブプライムローン金利の上昇をうけ、差し押さえされた住宅は1%強、全米平均の6倍になっている
   サブプライム問題とは・・・・・・ 低所得者層を主な対象とした高金利の融資 ・ 米国の住宅ローン総額1100兆円の11.5%を占める ・ 契約当初は6〜8%の金利であったのが、変動金利制で3年後に11〜12%に上昇の例もあり返済できなくなる利用者が多くでた ・ 07年9月期には延滞差し押さえが129万件、16%にも達し ・ この先も差し押さえが140万件へと上昇していくものと懸念されている     
住宅不況で企業が倒産・・・・・・・・ 住宅不況は米国経済を大きく揺さぶっている ・ 米金融大手はサブプライム問題で大きな損失を出しており、企業の倒産へ波及している ・ 世界株安、中国などへも連鎖した ・ 米国のGDPも急減速している    
                   
■金融機関が貸出し縮小 :         
大型開発中断・老舗倒産・・・・・・・ サブプライムの焦げ付きから、金融機関が資金繰りを中断するケースが多発している ・ このため大工事の中断、老舗の倒産などが相次いでいる ・ サブプライム問題で金融機関の損失が拡大した昨年秋以降、自己資本比率維持には資産の圧縮が急務であり、貸し渋りが増えている
   自己資本比率の維持には・・ 自己資本比率は銀行の健全度を示す指標で、国際的に営業する金融機関は8%以上を確保するよう求められている ・ 金融機関が巨額の損失を抱えた場合、自己資本比率を維持するのには、減少分と同じだけの資本増強をするか、増資ができないときは資本減少分の10倍の資産を減らすことが必要である
   大手銀行が資産売却へ・・・・ 高格付けの社債を銀行が手放している ・ GEなどの全米トップ企業の社債までが割安で出まわっている ・ 資産を減らせば貸し渋りにもなるので、悪循環スパイラルに陥りかねない危険がある 
商業用不動産の投資も減速・・・・・ サブプライム問題などにも拘わらず、商業用不動産投資は前期比20%前後の急成長をしていたが、ここにきてかげりが出始めた ・ 年末商戦も5年ぶりの低水準である ・ 金融機関の動向が気になる昨今である 
                 
■リンク集 :             
   サブプライムローン・・・・・・・・・ サブプライムローンで分かり難いところ ・ 米国の景気減速で世界が変わる         
   株価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大幅下落いつまで続く(マネーまぐまぐ) ・ 株価の近未来予測 ・ 野村の株価予測 ・ 本日の株価予測