中国五輪後に来る 大失速 10の危機 
                               ( サンデー毎日 9月7日号より )

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中国五輪後 失速の状況 大失速 10の危機
中国バブル崩壊とその原因
景気後退で雇用問題勃発
内需主導型に転換試行
 . 中国野菜は危険
漢民族中心国家
3億の中間層の反逆
 . ニセモノ文化の猛威と脅威
2.5億人のネットパワー
独裁国家は五輪後に崩壊
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  中国で 五輪後に来るもの     
■中国失速の状況 :    
中国株価下落を検証する・・・・・・・ 中国オリンピックが終了した ・ 中国の株価はそれ以前から、昨年10月から下降一途にある ・ 中国オリンピック終了で上昇への期待もあったが、オリンピック期間中に10%も下げた ・ 一体中国に何が起きているのか検証する   
   中国株価の高騰の要因・・・・ 中国株価の高騰の要因は、中国の貿易黒字、外貨準備がたまって人民元の高くなるのを回避するために、政府が市場介入「カネ余り」の状態を作ったからがひとつ ・ それと上海市場の売買が個人投資家によりギャンブル的に行われてきたことにより、乱高下が激しくなっている   
   中国バブル崩壊の原因・・・・ 直接の原因は、中国政府がバブルを警戒し止めたからです ・ 昨年10月の共産党大会で金融引締めが強化され、マーケットへの資金投入がなくなり、合わせて米国のサブプライムローン問題が株価に拍車下落をかけたからである ・ そもそも貿易黒字と不動産投資のにより、2003年から10%〜12%GDP(北京では昨年17.8%を記録)成長をとげていましたが、ここに来て縮小傾向になったからだという 
欧米不景気が予想外に打撃・・ 折角の縮小傾向になった中国経済だが、サブプライムローン問題で欧米の景気が予想以上に悪化、それに人民元高も輸出産業に追い討ちをかけた         
   景気後退で雇用問題勃発・・ 日本の中国からの工作機械の受注額はこの7月前年同月比19%のマイナスになっている ・ 今後このような傾向は建機メーカ、電子機器メーカに及ぶ可能性がある ・ 中国政府は五輪終了後に3〜6兆円規模の経済対策をするとの報道があって一時株は上昇したが、今は最高時の半分辺りで低迷している ・ 毎年新規就職希望者は2400万人いるが、就職率は50%強程度、経済成長10%ないと社会問題化を起こす状況にある  
   内需主導型に転換試行・・・・ 地域格差、民族問題、中間層の出現、環境汚染、民主化問題、今中国が抱えている問題は無尽蔵にある ・ 二桁の経済成長がとまってしまうと、こうした問題が噴出してこないか心配される       
               
■中国の10の危機 :          
@ 中国野菜の危険度・・・・・・・・・ (食品ジャーナリスト:陳恵運談)     
   餃子事件野菜輸出に打撃・・ 中国ぎょうざ事件で、中国政府は一時期中国野菜の輸出をストップさせ、日本の野菜の輸入量は減少した ・ その後山東省が増加、シェア52%をしめ、6月より回復してきている ・ 山東省はニンニク・白菜の産地で、日本と中国の企業が提携して経営している農場が多い ・ 山東省の気候が日本に似ていて、日本企業が進出し易くなっている ・ 日本企業の後押し(安全性の裏づけ)あって、山東省からの輸入が増えている
   重金属汚染の野菜・・・・・・・・ しかし中国産野菜には重金属汚染が全国で見られており、不安はある ・ 化学肥料を大量に使用しており、環境汚染を巻き起こしている ・ 石炭を大量に使用しているので、石炭に含まれる水銀が大量に中国全土に降り注ぎ、広東省の野菜にも鉛が規定の20%以上含まれ、カドミウム12%、水銀2.3%オーバーしている ・ 農薬は水にさらせば消えて行きますが、重金属は体内に入ると排出が難しく、イタイタイ病や水俣病などになったり、発がん性にもなります
   輸入野菜には今後も注意・・・ 山東省の野菜のほか、サトイモ、ニンジン、トマト、トウモロコシなどどれにも重金属汚染の心配があります ・ 中国の研究所では検査していますが、日本の検疫では重金属の検査が義務付けられていません ・ 輸入野菜には難しいですが気をつけましょう     
A 少数民族司令塔は日本にも・ (東大準教授:平野聡談)     
   漢民族中心の国家に不安・・ オリンピックで出場の「56の少数民族」の子供達の殆どが漢民族であった ・ 少数民族平和統治を世界へアピールするところが、漢民族の横暴を露呈するところとなった ・ 五輪後漢民族による少数民族抑圧の問題が噴出してくる可能性がある
   チベット問題が一つの例・・・・ ラサ地区には漢民族の移住が進み、チベット民族よりも人口が増えてしまった ・ 経済発展のパイを少数民族へもとの政府の目論見であるが、交通が進み皮肉にも移民が進んでこのような騒動になってしまった ・ 不満をもっているのはチベット、ウィグル、モンゴル人だけではなく、中国語を話すイスラム教徒にも過度の干渉が行われている    
   今「嫌韓国ムード」もある・・・ 高句麗の歴史が韓国のものか中国のものかを巡る「高句麗歴史問題」でゆれている ・ これをきっかけに中国には今激しい「嫌韓ムード」が漂っている ・ 「朝鮮族」と呼ばれる中国国籍のコリアンたちも生活を脅されるのではと不安を抱いている
   中国少数民族が日本にいる・ 孫文はじめ数多くの中国人が、明治維新を理想として日本に学び、清王朝滅亡ののろしを日本で上げた ・ 今現在も、東京にはチベット、ウィグル、モンゴルをはじめ多くの中国少数民族が暮らしている ・ チベット騒動時、東京や長野で3民族が大同団結し在日漢民族と対峙した       
B 3億の中間層が反逆するか・・ (早稲田大学教授:園田茂人談)           
   経済成長ストップ時どうなる 中国総人口13億人の約4分の1の3億人がホワイトカラーを中心とした中間層である ・ 中国中間層は「金持ちになりたい」「留学したい」と積極的であり、今後も経済成長が続くと、月給も全部使い切っている若者が多い ・ 経済成長は未来永劫に続くものでなく、それが分かったときこの若者達はどうなるか、社会の厄介者になっていく可能性がある ・ なにかあるとネット上で罵倒されるが、政府は中間層の団結発起を恐れている     
C 格差是正がポスト胡錦涛課題 (早稲田大学アジア太平洋研究科長:天児彗談)  
   五輪の大同団結後の不安・・ ポスト胡錦涛にもっとも近いのが習近平国家副主席(55)と李克強副首相(53) ・ かってのように共産党独裁での決定ではなく、世論も入っての選出になっていくものと見られている ・ そこで問われるのが、格差の拡大、官僚腐敗、物価上昇などであるが、すでに中間層からこれらについて上へ批判が増えてきている  
D パクリ文化の猛威と脅威・・・・ (三菱UFJ産業調査アナリスト:稲垣清談)     
   ニセモノ悪いと言う意識なし・ 五輪前と五輪開催中、違法商品の取り締まりが強化された ・ しかし地方にはニセモノが並んでいる ・ 米国ウォルトディズニーからクレームがあったもののようにテーマパーク全体を真似てしまうようなものまである ・ 五輪を機に、富裕層にはニセモノを恥と考える意識が芽生えはしているが、大方はニーズがあるからやっていることで悪いという意識はない ・ 中国政府は取り締まりしているというが、刑罰が軽いため抑止効果は余りない
E 四川大地震の後始末難航・・・ (ADRA・JAPANオフィサー:神田佐知談)
   被災者助成金も打ち切り・・・ ADRA・JAPANは世界各地で国際協力をしているNPO法人で、四川大地震で7月31日まで支援活動をしてきた ・ 五輪は被災地の人たちも楽しみにしていたが、五輪後は現実の生活に戻る ・ 政府の発表では、被災地の復興は後3年かかるとされており、まだまったく見通しが立たず困窮している人達が多い
F 2.5億人のネットパワー・・・・ (北海道大学準教授:渡辺浩平談)
   政府頭痛いが前向き・・・・・・ 今中国の若者の間では新聞、テレビ離れが進み、インターネットが広まっている ・ 新聞、テレビは党に統制されているのでつまらないというのがその理由のようである ・ 胡錦涛主席は「ネットは見る、ネットでのユーザの提言や意見を大変重視している、重要なチャンネルだ」と評価している ・ 中国では世論調査は許されていないので、ネットが人民の意見、知恵収集に重要となっている           
G 次は上海万博で汚染襲来・・・ (環境ジャーナリスト:村田佳壽子談)      
   黄砂被害は毒入りの恐れ・・・ 五輪中は北京の空気は左程悪くはなかった ・ 北京市内の工場の操業を停止したり、車を偶数、奇数指令で半減させたりしていたためである ・ しかしそのリバウンドは大きくなっている ・ 偶数奇数の2台買えばよいだの、工場を新たに北京外に作るなどで、汚染は拡大してきている ・ 2010年の上海万博、そしてそれに対抗して他の都市でも建設ラッシュとなれば、黄砂被害は続きそう ・ 今年福岡に北京の黄砂が飛来したが、これには呼吸器系の病気を引き起こす、「毒入りの黄砂」で危険性が高いものでした 
H 麻生の口が「反日感情」へ?・ (神田外語大教授:興梠一郎談)          
   日本首相の靖国参拝が心配 中国政府が警戒するのは79年の「一人っ子政策」の以降に生まれた「80后世代」 ・ 江沢民前国家主席の愛国主義教育を受けているためナショナリズムが噴出しやすい ・ 胡錦涛主席の時代になっても経済発展をし続けているので「80后世代」は過激な行動にでることはなかった ・ 経済が落ち込むと暴走しやすくなる ・ 福田前首相は個人的なつながりもあり良い関係であったが、日本の次期首相が靖国参拝でもしたら一気に悪化するであろう         
I 独裁国家は五輪後に崩壊・・・ (同志社大教授:村田晃嗣談)
   五輪後経済発展できるか?・ 一党独裁が五輪を開催すると「9年後」には崩壊するというジンクスがある ・ ナチスドイツが1936年ベルリンオリンピックを開催し、その9年後1945年に崩壊 ・ ソ連も80年のモスクワオリンピックの9年後にベルリンの壁崩壊となった ・ 一方日本、韓国は五輪後経済高度成長をとげた、中国は経済は資本主義であり、高度成長のパターンになるのかも知れない  
   経済発展への課題・・・・・・・・ 冷戦終結後20年を経たが、またグルジア紛争などで米ロが対立を始めた ・ 中国がどこまで国際協調体制を維持し経済発展をさせていけるか注目される ・ また国内でもチベット問題など少数民族への人権弾圧があり、国際協調への予断はゆるされない        
   中国のバブル崩壊が心配・・ GDP二桁成長を続けてきた中国だが、ここに来て株バブル崩壊、不動産バブルも崩壊寸前で、失速している ・ 好調な経済で蓋をしてきたことが多いだけに、不満の噴出ほか懸念されることが多い
                
                
■リンク集 :  中国五輪後の清算 ・ 五輪後の中国経済、難問山積 ・ 五輪後の経緯材停滞回避に5.5兆円