派遣労働の生い立ち、実態、解決策 (週間ダイヤモンド2月7日より) |
|
|
■派遣労働者の実態 : |
派遣労働者の環境は過酷・・・・・・ |
製造業で働く派遣、業務請負労働者の失業は、H21/3までに40万人に達するという ・ またその上派遣労働者の労働条件は極めて過酷になってきており、2007年の労働災害による死傷者は5885人(2004年の667人の9倍)にもなっている |
ロストジェネレーション・・・・・ |
バブル崩壊後の就職氷河期に、正規社員に就職できず止む無く非正規社員という不安定な道に進まざるを得なかった若者に派遣社員が多い ・ 2000年前後の就職氷河期に大卒の30歳前後の労働者は、最も不満を抱えている層といえる |
給料は低く、使い捨て・・・・・・ |
正規社員と非正規社員とでは、全く同じ仕事をしていても大きな差がある |
. |
|
正規社員と非正規社員との月給に
大きな開きがある ・ 加えて非正規
社員にとってつらいのは、年齢や
能力に応じての給料UPもない
やりがいにつながらない寂しさがある
自動車製造における派遣労働者の
賃金は、実働日数に応じて上がる
ようにはなっている ・ 例えば30日
以上出勤した場合には、日当が800
円追加支給される ・ また1年間で
多ければ尚慰労での加給がされる
また正社員への登用試験もある
そのようなモチベーションはあるが、
2ヶ月での雇用契約になっている
のだからおかしい
正社員は人生設計ができるが、
非正規社員には難しく、結婚も
ままならない ・ また正社員は
ミスを非正規社員のせいにするなど
みくだすこともよくある ・ 正規社員
に恨み辛みが起こる
|
|
正社員と派遣社員の
生涯収入比較 |
|
生涯賃金 |
年金月額 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
生涯正社員 |
大卒 |
2.7億円 |
2.3億円 |
18.7万円 |
16.8万円 |
|
高卒 |
2.1 |
1.6 |
16.1 |
13.8 |
生涯派遣社員 |
0.9 |
10.5 |
派遣→正社員 |
1.8 |
0.5 |
14.5 |
7.7 |
生涯臨時社員 |
1.1 |
0.5 |
6.6 |
6.6 |
生涯パート |
0.6 |
0.5 |
6.6 |
6.6 |
|
|
|
|
■労働者派遣法の改正 : |
|
2004年3月製造業派遣解禁・・・ |
当時製造業の世界では、低コストを武器にしたアジアメーカが台頭し、国内製造業の国際競争力低下が危惧されていた ・ そこで製造派遣が認められ、派遣労働者は雇用の調整便に位置付けられた |
請負から派遣に切替った・・・ |
それまでメーカの外部人材の大半は請負労働者で占められていた ・ 請負には、発注元が労働者に対して指示、命令を出してはいけないという規定があるが、派遣は派遣先が労働者に対して指示命令を出してもよいため、メーカにとって勝手がよかったから増加していった ・ 派遣9割、請負1割までになった |
偽装請負が横行した・・・・・・・ |
ただし派遣は雇用期間が3年を超えると、メーカ側に直接雇用を申し込む義務が生じるため、実態は派遣なのにそこで請負を偽装することが横行した |
|
|
■キャノンにみる製造現場の混乱 : |
派遣社員をなくし期間社員へ・・・・ |
いっせいに請負から派遣にシフトすると、3年後に3ヶ月の契約解除期間をおいて再契約することになっている ・ これだはクーリングオフの期間に労働力の不足が発生し、製造現場が機能不全になってしまう ・ キャノン例であるが、はだとするならば、爆弾をかかえるのをやめようと、派遣社員をやめて期間社員と請負社員にすることにした ・ しかし請負労働者にしても契約解除がしにくくなっている |
多くのメーカは派遣切りへ・・ |
この「製造業の2009年問題」に対応してこなかったメーカは、今年に入って、派遣労働者の契約満了期を迎え、簡単に切り捨てているのだが、キャノンは契約期間までの保障、退職後の生活保障へも配慮をした ・ 御手洗経団連会長の社会的責任重視の姿勢なのであろうか |
|
|
|
|
解決策はどこにある (週間ダイヤモンド2月7日、日本経済新聞2月7日 より) |
|
|
■緊急措置(救済すべき労働者は救済を) : (週間ダイヤモンド2月7日) |
人口構成と非正規社員・・・・・・・・・ |
15歳以上の人口(1億1030万人) ・ 労働人口(6658万人)非労働人口(4372万人) ・ 就業人口(6392万人)失業人口(266万人) ・ 雇用者(5532万人)・自営業者(812万人) ・ 完全雇用者(5164万人)・役員(368万人) ・ 正規社員(3385万人)・非正規社員(1779万人) ・ 正規社員転換要望非正規社員(500万人)・・・この500万人に技能研修など再チャレンジのチャンスを与えることである |
少子化と労働政策(自民)・・ |
これまで労働の最大のテーマは労働人口の減少、就業率が50%をきる時代がやってくる ・ そこでフリーターやニートなどの若年層、女性に就業機会を与えることを最優先事項としてやってきた ・ 派遣は業種を越えて雇用を創出できる ・ ところが大不況で事態は一変し、人手不足から雇用過剰へとテーマがすりかわった ・ 現在製造の派遣の事業者は1万社、46万人の労働者を抱えているが、その派遣会社が調整弁的な役目を果たせていない ・ 国は雇用創出4000億円投じて140万人の雇用創出をとしているが、派遣事業者のリスクの負担も必要である (川崎二郎衆議院議員談) |
|
|
■中期的措置(派遣法の規制強化を) : (週間ダイヤモンド2月7日) |
派遣市場は急成長した・・・・・・・・ |
86年に派遣法が施行され、通訳やソフト開発など高い専門分野の派遣に限られ実施された ・ 99年に原則自由化され、徐々に改正、04年には製造業務も解禁となった ・ 99年金融危機で大企業が正社員を大量リストラをした ・ 正社員の代替として「派遣」の低賃金労働が重宝がられた ・ それやこれらで99年に10000社であった派遣会社は2007年には7万社までに増加した |
製造業派遣禁止(野党)?? |
野党のいる製造業の派遣の禁止はどうだろう ・ 禁止しても46万人は路頭に迷うだけであり、緊急対策にはならない ・ 所属の現状派遣会社には業法監督官庁がない、劣悪な派遣会社のままゴーサインを出してしまったところに問題がある |
派遣会社の見直し如何に・・・ |
派遣会社に常用雇用のみを使う、派遣と請負の両方を扱う枠組みをつくること コンプライアンス規定を厳格化し雇用責任を負えない事業者は淘汰されるようにすること ・ 労働省告示37号「派遣事業と請負事業の区分に関する基準」があり、メーカが外部人員の利用にはひと工夫必要な状況になっている ・ 益々今後景気変動、雇用調整が必要になってこようから、派遣会社等を頼りのあるものにしていかなければならない |
|
|
■長期的措置(働き方別に保障ルールを) : (週間ダイヤモンド2月7日) |
非正規社員は正社員の支え・・・・ |
世界が資本主義経済である限り、企業は国際競争力を高めなければならない ・ となると非正規社員の活用なくして持続的な成長は望めない ・ 現在経営者は正社員を簡単には解雇できない、その調整に非正規社員の切りがあるといえる ・ そこで正社員と非正規社員の区分けを明確にさすべきと称える学者がいて「勤務地、勤務時間、技術」などでルールを作ってはとのことである |
働き方とスキルの整理を・・・・ |
製造業の派遣をやめるというのではなく、その働き方、スキルにあわせて雇用保障、雇用調整をするルールをつくり、分かち合い、ワークシェアリングの議論ができるようになることが望まれる |
|
|
■海外の雇用事情 : (週間ダイヤモンド2月7日) |
解雇自由の国、米国の惨状・・・・・ |
日本では正社員の雇用を守るため非正規社員がショックアブソーバになっていると指摘されるが、米国では正社員、非正規社員を問わずリストラの斧が振り下ろされる ・ 解雇時の教育・斡旋してくれたり、解雇手当は手厚いがそれに引き換え「会社を訴えない」との契約書に署名させられるのが定例 ・ 訴訟の国米国、損害賠償額には上限がなく会社はそのリスク負担が大きいし、解雇自由の原則のせいで解雇にも企業側は大きなリスクを背負っている |
オランダ・フルもパートも同待遇・・ |
ワークシェアリング・・・正社員、非正規社員を問わず、仕事を分け合うことで雇用の維持を図るという考えは、魅力的に見える ・ 93年フォルクスワーゲンが行った例であるが、急激な景気落ち込みに対して、時短と賃金カット20%によって31000人の人員削減を回避できたという ・ フランスでは労働時間をカットして、失業者受け入れを行ったと言う、国の発展よりも平等を重視するお国柄が出ている ・ オランダではフルタイム労働者とパートタイム労働者が均等待遇になっており差別が禁じられている労働者を大切にする国である |
日本には非現実的・・・・・・・・ |
ただしこの欧州型ワークシェアリングは日本に持ち込んでもうまく機能しないであろうとみられる ・ 欧州では仕事に対して値段がついており、時間外労働をするという習慣もない ・ オランダでは、男女差別もないので女性の労働が増加したし、公務員であっても複数の仕事ができる ・ 社会保障、教育補助もしっかりしておりこれで十分に生活していける ・ オランダでうまくいっていても、日本では機会損失が大きくなり採用できるものではない |
|
|
|
|
非正規労働者支援のカギ |
|
|
■政府の雇用の安全網拡充急務 : (日本経済新聞2月12日より) |
政府の施策、まずは住宅・・・・・・・ |
昨年12月31日日比谷公園「派遣村」に、元派遣労働者や日雇い労働者、路上生活者など約500人が集まった ・ こうした人の多くは雇用保険に未加入で失業給付を受けられない ・ 政府がまず取り組んだのは住宅支援 ・ 敷金礼金など家を借りるための初期費用を工面する緊急融資制度を創設 ・ 雇用促進住宅の臨時開放などを決めた |
つぎには職業訓練・・・・・・・・ |
住宅を確保した後には、能力開発、就職しやすくする対策であり、19万人分の離職者向け訓練を用意した |
雇用保険未加入者への対策・・・・ |
働く人が失業したときの安全網は雇用保険だが、雇用保険に加入するには週20時間以上働き続け、雇用見込期間が1年以上あることが必要 ・ 働く期間が短い非正規雇用労働者は入り辛い ・ 非正規労働者の雇用保険未加入者は1000万人になるという ・ 政府は雇用保険法改正して雇用見込期間を1年から6ヶ月に短縮する改正を今国会に提出する ・ 余り短いと失業を繰り返すモラルハザードを起こす可能性がある |
未加入事業所も多く注意を・ |
雇用保険は労使が折半で払った保険料を財源に、労働者が失業したときに一定額を給付するする仕組み ・ 08年現在適用されている事業所は約202万ヶ所で、申請していない事業所も多く、失業したときに気がつく例も少なくない |
失業手当を受けるには・・・・・ |
勤務していた会社から「離職票」を受け取りハローワークに提出する ・ 受給資格の確認などの手続きを経て、4週間内にハローワークへ就職活動の状況などの報告をする ・ 働いていた期間に応じて90日〜330日、離職前賃金の50〜80%が貰える ・ 昨年末の新雇用対策では再就職が困難な人向けの給付日数を60日上乗せした |
生活保護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
生活保護を受けるには自治体の審査を受ける ・ 雇ってくれる人はいないのか、不動産の資産などないのか、収入や貯金はなどなどといった審査を受ける ・ だが自治体は逼迫しており、認めない自治体も多い |
非正規労働者の安全網拡充・・・・ |
雇用保険の機能強化
雇用保険制度の改正で新たに148万人が加入する
住宅、生活支援
雇用促進住宅の開放
最大186万円の貸付
職業訓練
訓練中は月最大12万円の生活保障給付 |
|
|
■リンク集 : |
|
就労支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
非正規就労支援センター開設へ ・ ハローワーク内非正規就労支援センター ・ フェアーワークつながるネット(連合) ・ 千葉県での緊急雇用対策 ・ 派遣先での人間関係アドバイス |
非正規労働への見直し・・・・・・・・・ |
非正規切り防止へ労働省通達 ・ 政府のニューディール政策 ・ 派遣切りの解決策を考える ・ ワークシェアリングで解決を ・ 何故根本解決がうてないのか |
求人サイト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
ハローワークインターネットサービス ・ エンジャパン求人サイト ・ 求人転職検索(Goo) ・ 派遣企業(例) |