裁判員になったらすること 量刑の決め方〜(5) 
                ( 実用教育出版「裁判員のことがよくわかる本」小林剛監修 より )

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法廷がでの注意   法廷内裁判での注意
リンク集
表での食事の注意
裁判員への要請は有罪
テレビや新聞に惑わされない
 . 評議では遠慮なく意見を述べよ
証拠に立ち返って判断すること
量刑の決め方・多数決の決め方
 . 裁判員の心のケア
模擬裁判での状況
小室被告の裁判
     特集記事のバックナンバー:       掲示板 (チョット関連の話題ありませんか) 


  法廷外で気をつけておくこと  ( 実用教育出版「裁判員のことがよくわかる本」小林剛監修 より )   
■外でどこまで話をしていいの? :    
裁判員は慰労会してもよいの?・・ 裁判員をしているときは、了解がない限りお互いの本名を明かしません ・ 了解があれば名前で呼び合うことになります ・ お互いに本名や連絡先を交換することは自由ですが、飲みに行くのは評議終了後と制限されています
   第三者のいる席では禁止・・・ ただしそれも、第三者に聞かれてしまうような席で、裁判の内容を話ししてはならない ・ どんな時間、どんな場所にいても、ほかの人間がいる場所では裁判の話は避けなければなりません   
   審理や評議の後ではOK?・ 裁判員として審理と評議への参加時間は夕刻5時ごろまでに終わるであろうとみられています ・ 裁判員に夜間警備員のひとであるとか、夜間開店の居酒屋の店長がなることもありましょう ・ そのような場合、裁判員は職務を離れた後は自由なので、評議に参加したあと、仕事に行くことは構わないことになっています ・ しかし当然ながら職場の同僚に、守秘義務にふれるようなことをしゃべることは禁じられています          
事件関係者と会うことはできない・ 裁判員裁判では、どこのだれが裁判員をしているかの情報は(秘)です ・ 被告や被害者は、現在の裁判員や過去の裁判員にも逢うことを禁じられています ・ 実刑要求などがされないようにするためです     
   裁判員への要望は有罪・・・・ 裁判員法というのがあって、これでは「裁判員に対して請託を行ったものは2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処す」となっています ・ また裁判員へ事実認定や量刑についての意見や情報を吹き込むことも、同じように有罪となります ・ 裁判員をしていることは(秘)ですが、もし吹き込みや請託などをする不届き者が現れたら、まよわず裁判所へ相談するようにとのことです      
■裁判が進んでからの辞退? :          
辞めたくても辞められない・・・・・・ いちど裁判員に選ばれたならば、途中で「辞めたくなったからといって、辞めることは許されません   
   特別の事情があれば??・・ 辞退を申し出ることのできる事例:
@自分が病気や怪我で裁判所へ行けなくなったとき A家族の中で介護や養育をしなければならない人ができたとき B家族の葬儀をするとき  こういうとき補充裁判員がバトンタッチ受けることになる     
テレビや新聞に惑わされない・・・・ 裁判は裁判所に提出される証拠だけで判断をすることになっています ・ 報道によって知った情報から判断することは避けるべきで、報道にまどわされてはなりません      
   報道は正しいとは限らない・・ テレビや新聞、雑誌、インターネット報道やブログ書き込みなどには、断片的な情報や出所あいまいな情報がある ・ 容疑者の容疑が事実化のように報道されることも多い ・ 海外では報道に注意が払われている場合がある ・ 裁判員制度をきっかけに、日本の新聞社も報道の出所を分かるようにしようとの動きもでています   
   
  
  法廷内、評議で気をつけること  ( 実用教育出版「裁判員のことがよくわかる本」小林剛監修 より ) 
  
■評議へ望むときの心構え : 
評議では遠慮なく意見を述べよ・・ 評議は裁判員と裁判官の話し合い、合議の場ですが、裁判官は法律のプロで、なかなか意見を述べ難い ・ そのような心配は無用で、土台裁判員は裁判官とは違った民間の意見を述べるために選ばれているのです ・ 評議では裁判官が争点を説明しながら司会進行をつとめ、また法律との照合チェックも裁判官の役目になっています ・ 法律関係での疑問は裁判官にどしどし質問することが望ましいことです       
   その場の空気に関係なく・・・ 裁判員には法律の解釈を求められているのではありません ・ 普通の間隔で意見を述べることが望まれるのです ・ 「あの被告の表情はウソッぽかった」とか、「あの証人のしゃべり方は信用できた」などなど自由に発言してよい    
               
■量刑決めることになったら :            
まず証拠に立ち返り考える・・・・・・ 証拠を見たり聞いたりした結果、検察官の主張していたことが、常識的にいって間違えないといえるかどうかを評議会議で話し合うのです ・ 例えば、殺人事件で証拠が示された場合、その証拠を見て殺意があったかどうかを、全員で意見交換をし結論を出すことになります  
   殺人者が無罪となるケース・ 自分や身近な人の身を守るために、やむを得ず加害者に反撃した結果の殺人は、「正当防衛」が認められて無罪になることもある ・ また犯行時の被告が、病気などによって自分をコントロールする力を失ってしまっている場合、「責任能力がない」として無罪になることもある  
量刑の決め方のルール・・・・・・・・ 評議では話し合いの結果全員一致で決まるのが理想的ですが、実際には3人の裁判官と6人の裁判員合わせて9人の意見が分かれる可能性があります ・ このような場合多数決で決められます ・ 裁判官も裁判員も同じ1票の重みをもっています ・ しかし裁判員6人が有罪としても、裁判官3人全員が無罪あれば無罪となります ・ これとは逆に裁判官3人が有罪とし、裁判員全員が無罪とすればこのときも判決は無罪となります
   何か事情があれば量刑へ・・ 検察の起訴事実が間違えないと判断されたら有罪と判断すべきですが、それでも考慮すべき事情があるとすれば執行猶予をつけるかの判断をすることになります
   量刑の重さの決め方・・・・・・・ 量刑を決めるときには、罪状、反抗内容、被告の態度、被害者の受けた痛みなどさまざまな要素をもとに判断します ・ 量刑には死刑、無期懲役(一生刑務所で労務作業)、有期懲役(最長30年、30年以上の服役を経て審査の上仮釈放というのもある)      
「疑わしきは罰せず」が原則・・・ 日本の刑事裁判では、「無罪推定」「疑わしきは被告人の利益に」という原則になっている ・ 裁判員は、起訴事実が間違えないといえない限り、被告人は無罪であると判断しなければならない ・ 被告人は証拠を収集することができないなど、検察側に比べ不利な立場にあるので、検察側には高いハードルの証明責任が負わされている  
   意見が分かれたらどうする・・ 例えば
  無期懲役だという裁判員が 1人・・・A
  懲役20年だという裁判員  2人・・・B
  懲役15年だという裁判員  2人・・・C
  懲役12年だという裁判員  1人・・・D
  懲役10年だという裁判員  2人・・・E
いたとした場合、次のようにして15年と決めます
  量刑の重い方から 人数を加算して行き、過半数の5人になったところで決まる
  従って、上記の場合では
  A+B=3 懲役20年は却下
  A+B+C=5 よって過半数になるので、懲役15年と決定
ただし、決定の中に裁判官が含まれていなければ、刑は軽くして行きます   
       
       
  裁く重圧と心のケア    
  
■先輩国の教え :   (日本経済新聞2007年8月19日より)           
裁判員の精神的負担は大きい・・・ 米国の例だが、陪審員・参審員の精神的負担は軽くない ・ カウンセリングも必要で法律までできた      
   カウンセリング法が誕生・・・・ 2007年1月米テキサス州の地方裁判所で、被害女性の切断遺体写真が大型スクリーンに映し出された ・ そして陪審員は被告を有罪、禁固刑55年とした ・ この判決から半年後被害者の名をつけた「ジェニファー・ケーブ法」という法律ができた ・ 陪審員の精神的サポートをする無料カウンセリングを提供する法律である  
   写真を見せるかの判断・・・・・ 米国では刑事裁判で陪審員へ生々しい写真を見せるかどうかは裁判官が判断する ・ ただ証拠をみせない場合、弁護側、検察側から異議が申し立てられることがある          
第三者に話すチャンスが欲しい・・ ドイツの参審員を勤める男性は、「帰宅しても家族に何もしゃべらない、第3者に話せると楽になるのだが」と愚痴る ・ ドイツの女性参審員は庭弄りをして落ち着けと諭したという ・ 欧米では死刑制度廃止の国が多い ・ 日本は死刑制度があるので裁判員の負担は大きくなるであろうと思われる            
                   
リンク集 :         
裁判員の心のケア・・・・・・・・・・・・ 裁判員制度と心のケア ・ 最高裁が心のケアに方針 
裁判員量刑への重圧・・・・・・・・・・ 模擬裁判量刑への重圧生ず ・ 模擬裁判では量刑に大差 ・ 小室被告裁判量刑後回し(裁判員制度にらむ)