成熟国家を生きる (日本経済新聞 1月1日より) |
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■人口減ニッポンの進路 早く議論を : |
生涯働けるが制度を・・・・・・・・・・・ |
この1年で試されるのは、女性や高齢者など働く意思のある人が仕事につける社会をつくること ・ 年金や医療、介護などを巡る社会保障制度の不安を取り除いていくことである ・ 出産後も仕事復帰できるよう保育所などの整備、団塊世代など70歳まで働けるよう企業助成する制度、ニートの活用へ職業キャリアが認められる制度などなどの法整備の望まれるが、欠かせないのは経済の成長・社会保障制度の充実である |
経済の成長戦略を・・・・・・・・・・・・ |
前政権ではハイブリッド車の購入補助金、介護の人件費補助が盛られ2009年度の第一次補正予算で実施されたが、鳩山政権ではデフレ対策などにあって、まだ先行きは不透明 ・ 強力なリードが必要なのだが |
安心できる社会保障制度を・・・・・ |
2025年に現状と同じ社会保障を維持するには、現役世代の負担を3割増やすか、高齢者の給付を2〜4割カットするかとなる ・ 消費税アップで賄うとなれば、消費税率8%とする必要がある ・ とはいっても増税がすべて社会保障に当てられない、国債の利払いも額が増えている ・ GDPに対する債務残高比率は先進国中突出して悪い ・ 鳩山政権では増税4年間しないとしているが、この将来の痛みを早く議論しておく必要がある |
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■民族・文化越え共存目指そう : |
東アジア共同体(鳩山胸算用)・・ |
鳩山首相の共同体構想は、EUを理想とし、その根底にあるのはオーストリアの政治家フィヒャルト・カレルギーの「友愛精神」 ・ 欧州石炭鉄鋼共同体がEUのきっかけだったので、アジアでも日中両国の懸案であるガス田の開発問題を抱える東シナ海を「友愛の海」とし、共同開発を通じて共同体構想を発展させたいとしている ・ 民主党のマニフェストでも、通称、金融、エネルギー、環境、災害、感染症などの分野で、アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立すると明記している ・ 実績を積み上げていく方針である |
政治体制、国力の差をどうする・・・ |
EUの参加国はすべて自由主義国であるが、アジアは中国、ベトナムが共産党による一党独裁体制であるほか、ミャンマーは軍事政権下など、東南諸国には根強い警戒感がひそんでいる ・ そこで鳩山首相は当面、各国の利害が重なり易い経済、環境分野などで協力を先行させ、少しづつ外交・安全保障へと広げていくイメージをもっている |
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■将来をになう子供に元気を : |
結婚・子育ての支援を・・・・・・・・・ |
少子化対策のまず第一歩は結婚であるが、35〜39歳の女性の約3割がまだ結婚していない状況 ・ 未婚の女性の7割が、相手に400万円以上の年収を求めるが、同世代の男性の約8割は400万円以下の収入である ・ そのような意味で福井県は、3歳児までこどもの保育料や医療費をすべて無料にしたり、子育てマイスター制度をもって子供の一時預かりをするなどの制度をつくっており、全国からの視察が相次いでいる |
夫の家事育児の時間が少なすぎ・ |
米労働統計局の調査によれば、一日の夫の家事と子育ての時間は、米英仏が2時間半以上(うち子育て1時間以上)であるのに対し、日本の夫は家事時間1時間(うち子育ては30分)だという ・ 20代、30代の若い世代の男性には「イク(育)メン(men)」「カジメン」が台頭しつつありよい傾向ではあるが、まだもって育児休暇の取得率は低い ・ 旭化成では育児休暇を有給で5日プラスする制度をつくっており、取得率が増えてきているという |
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■個人マネー一段と多様化 : |
今後10年厳しくなる家計運用・・・ |
日本の個人マネーを取り巻く環境は今後10年で厳しさを増すと覚悟しておくべきである ・ 所得は伸び悩み、国の借金などで消費税大幅UP、証券優遇税制などがなくなるなど課税も厳しくなる ・ 10年以内に納税者番号制度や金融所得一体課税が導入される可能性も高い ・ 年金の保険料も徐々に上がる |
大きな流れは海外への投資・・・・ |
先進国の国債などで運用する投資信託「グローバル・ソブリン・オープン」が人気であるように、個人の海外投資はここ数年高水準で推移している ・ ブラジル・レアルをはじめ高金利通過で運用する「通貨選択型」の投信もヒットした |
家計の姿も多様になる・・・・・・・・・ |
専業主婦が第3号被保険者として保険料を払わずに国民年金に加入できるという過去の形態はなく、夫婦共働き独自の人生設計をたてる必要がある ・ 株投資で大損をしている高齢者が多くみられるが、老後は慎重な投資を、分散投資などでの安全な投資が望まれる ・ 4資産分散(日本株・日本債券・外国株・外国債券)では下落率も抑えられ、配当などのリターンもある ・ ネット証券などを中心に、年1%未満の低コストで国内外の株式や債券に投資できる投資信託がここのところ増えている |
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生活を変える技術 (日本経済新聞 1月1日より) |
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■実用間近、夢のテクノロジー: |
パナソニックで各種家事ロボット・ |
食器洗いをして食器洗い機に入れるロボット、ベッドが自動で車椅子に変身するロボットを開発した ・ 少子高齢化による労働人口減少を背景に、家事や労働を代替するサービスロボットが普及すると見込まれている ・ 一方で、安全基準作りや関連法規の制定などの体制整備が急ぎ課題になっている |
電気自動車インフラ作りテスト・・ |
エンジンを搭載せず充電池からの電気だけで走行する電気自動車が市場化され始めた ・ 燃料電池車は電気自動車の一種であり、これもエコカーであり期待されるが、まだガソリン車に比べ価格や充電インフラなどに課題があり、すぐにガソリン車に代わるとの見方は少ない ・ 今年3月に伊藤忠やファミリーマートなど15社がつくば市でインフラなどの実験を始める |
人工光合成で水から水素・・・・・・ |
石油や石炭に頼らないモノづくり、今100年に一度の大転換期を迎えている ・ 人工光合成が現実のものになろうとしている ・ 三井化学の大阪工場でCO2から水素と銅、亜鉛からメタノールをつくる実験が進められている ・ また光触媒で水から水素と酸素も作り出す ・ 太陽・水・CO2から燃料を作り出す技術の開発が進められている |
10倍強度のナノファイバー技術・・ |
鉄やプラスチックなどをしのぐ機能をもった新素材は日本企業が牽引している ・ 代表例が炭素繊維で、鉄の1/4の重量で10倍の強度をもち、航空機や風車の羽根に使われている ・ 次世代の本命とみられるナノファイバー(直径が1/10億、ナノサイズから呼称)である |
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■難病克服へ 産学がタッグ : |
再生医療技術で心臓をつくる・・・ |
再生医療研究は京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて人の新型万能細胞(iPS細胞)を作製し一気に花開いた ・ 安全性や効果の検証が進められているが、産学の力の結集で10年後には臓器工場が誕生するであろう ・ また謎の多い体細胞からiPS細胞を作製することにより、がんの発生メカニズムを解明したり、糖尿病患者に必要なインスリン細胞を外から補うことも可能となる ・ 脳までは難しいものの多くの臓器は可能であろうと期待されている |
iPS細胞の懸念点(がん化)・・・・・・ |
iPS細胞は再生医療技術の切り札とされるが、移植後に一部がガン化してしまうことが動物実験などで判明している ・ iPS細胞は無限に増え続けるなど、当初からがん細胞との類似性を指摘されてきた ・ いくつかの遺伝子を導入して細胞の性質を変えるiPS細胞の作製方法も試み始められている |
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■買い物のデジタル化 : |
自分に合わせて見る場所提供・・・ |
デジタル技術の発達によって、インターネットによる買い物が手軽で便利になろう ・ チャンネルを変える間隔で品決めし、画面に自分の姿を映し出して仮想の試着をしてみる、仮想主役の時代がくるのでは ・ ガデンサが開発したシステム(ROBRO)では、テレビのリモコンでYahooや楽天やらのサイトへいく ・ パナソニック、ソニーもこのようなネットテレビの開発を急いでいる ・ デジタルテレビへの移行のこの1年、様々なネットテレビも出現するであろうとみられている |
携帯で長時間動画・・・・・・・・・・・・ |
携帯電話が高速化され、ネットショッピングがますます盛んになろうとしている ・ 光ファイバー並のLTEが10年の年末にも実用化される見通しで、映画など長時間動画をいつでもどこでも見られるようになる ・ そうなるとDVDのコンテンツの購入はネットにシフトする可能性がある |
店舗はショールーム化・・・・・・・・・ |
商品によっても違うが、書籍や旅行関係は店舗がなくても、インターネットで選択し注文ができる ・ 化粧品や衣服はインターネットで選べるが実際にみてみないと心配、モノによりネットが使い分けられている ・ 加工食品、日用雑貨、家電もネットに完全に置き換わることはないとみられる ・ とはいえ買い物はネットが便利なので、店舗は極論すればみるだけのショールームでよいともいわれている ・ 店も変わり様で、旅行がテーマの「トラベルカフェ」、インテリアがテーマの「アーキテクトカフェ」、投資情報を提供する「金融カフェ」などが既にある |
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■温暖化対策 世界の結束を問う : |
二酸化炭素の回収システム・・・・・ |
排気からの二酸化炭素を回収するには、アミンやアンモニアなどの溶液を使う手法、特殊な膜を利用する方法、燃焼の際空気の代わりに酸素を吹き込む方法、また純粋な二酸化炭素を回収利用する方法などなどがある ・ また地中へ貯蓄する方法として現在は、原油や天然ガスを採掘した油田やガス田に送り込む手法が実用化されている ・ 普通の土地でも地下の帯水層と呼ばれる部分に注入すればCO2が漏れる恐れがないとされる ・ 陸地内は地権で問題があるので、近海の海底へ封じ込めることが検討されている |
国連気候変動枠組み条約会議・・ |
国連気候変動枠組み条約締結会議(COP)は毎年年末に開かれる ・ 1997年京都議定書が採択されたが、約束機関は2012年で終る ・ 07年末のCOP13でCOP15までに「ポスト京都」を決めることにしたが、採択に失敗、留意に留まった ・ 最終決着は今年メキシコで開かれるCOP16になる ・ 決着できないと、温暖化ガス削減の動きを見込んで整備されてきた排出量取引市場などが混乱に陥る恐れがある |