福島原発同時多発事故の原因と影響を考える 
                ( エントロピー学会著「原発廃炉に向けて」日本評論社刊より )

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事故の本当の原因   東電・保安院の問題
全国の原発すべてが危険
原因は地震の影響大
事態は収束するか
 . 原子力安全委員会、保安院とは
機能不全の原子力安全委員会
東電には事実を隠ぺいする体質
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  原発事故から何が分かったか    (エントロピー学会「原発廃炉に向けて」日本評論社より)  
■事故の本当の原因 :  (作家:広瀬隆氏談) 
全国の原発すべてが危険・・・・・・ 今回の地震は1つの震源域だけでなく、プレートの広大な領域が一気に破壊され起こりました ・ そこで気になるのが浜岡原発ですが、ここは東海地震の震源域にあります ・ 今回は太平洋プレートの地震ですが、影響を受けてフィリピンプレート、ユーラシアプレートが動き出すと日本全国へと飛び火します
   地震に弱い原発・・・・・・・・・・ 原発建設では当初地震の加速度を270ガルあるとして設計されています ・ 近年それを450ガルくるものと想定を変ましたが、それでも低すぎで、福島原発2号機では550ガル、柏崎地震ではタービン建屋は2000ガルが観測されています ・ 耐震強度不足があると配管などに亀裂が入り、大事故を起こしてしまいます ・ 福島原発の配管の損傷が原因でした
  水素爆発の原因にも・・・・・・・・ 地震によって配管が損傷し、圧力容器の蒸気が噴出して冷却材喪失事故という絶対起こしてはならない事故を起こしてしまったのです ・ その結果水に浸かっていた燃料棒が外に顔を出して灼熱状態になり、燃料棒を被う被覆管のジルカロイが水と反応して水素ガスを大量に発生させてしまったのです ・ 水素ガスは 4気圧設計の圧力容器内で8気圧にもなって爆発をしてしまったのです   
事故の本当の原因を隠す東電・・・ わずか500ガルでの設計になっている日本の原発はどれも危ないものです ・ 津波の事故だと大きく取り上げられていますが、大事故・水素爆発は地震による損傷だったのです ・ 大地震が起これば福島だけではない過去にも多々事故が発生しています ・ 1991年美浜原発2号機の蒸気発生装置細管の破断事故、2006年の浜岡原発5号機のタービン翼が大破する事故、2007年新潟中越地震での3号機タービン建屋で2000ガルを超える地震が起こり、変圧器が大火災を起こしました ・ 600ガルでも大丈夫と豪語している最近の原発設計ですが、それを超える震度がきており各地で事故を起こしています          
■福島原発事故の原因と意味 :  (東大名誉教授:井野博満氏談)          
原因は地震か津波か・・・・・・・・・・ 福島原発の事故原因は、地震による機能喪失と津波による機能喪失です ・ 地震による故障は、1号機の原子炉配管の破損、2号機の圧力抑制室の破損、4号機の使用済みプールの破損などとあります ・ 津波による被害は非常用電源の喪失です ・ とのことで両者の複合事故になったと思われます     
   耐震性評価と現実のギャップ 柏崎刈羽の事故を契機に各地の原発を見直しした結果、福島原発は600ガルを基準地震動としました ・ その値と実際に起こった地震動を比較すると、2、3号機は基準地震動を超えていたのです ・ 地震動の設定は十分でなかったといえます ・ そして津波についてもスマトラ沖地震の経験から、原研の想定値は低すぎると市民団体から申し出があったのですが、無視されてしまい、事故を迎えることとなりました      
事態は収束するか・・・・・・・・・・・・ 窒素ガス封入作業を続行しているが、またも水素爆発を起こす危険性はないのか懸念があります ・ 電源が引けたなどと収束への動きがとられているような報道はありますが、配管の亀裂や圧力容器の底ぬけが起こればまたまた大事故となります ・ そうでなければタービン建屋の地下に高濃度の汚染水が溜まっているわけがありません    
放射能汚染・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルトですが、職業被ばく限度は5年で100ミリシーベルトです ・ ただしどの年も年間50ミリシーベルトを超えてはいけないとしています ・ また近くに住む住民は年間1〜20ミリシーベルトやむなしとしています ・ 年間1ミリシーベルトで5%ガン死亡者が出るとの想定ですので、1ミリシーベルトは相当に高い値です ・ 年間250ミリシーベルトで作業すると、80人に1人はガンで亡くなるということになります ・ 子供のリスクはその5倍、乳幼児では9倍とのことになります     
   被爆者の実態・・・・・・・・・・・・ ところが250ミリシーベルトあびた労働者に、この規則をあてはめると就業機会をうばうということで、別扱い管理も出ています ・ 250ミリシーベルトあびると別の原発、翌月柏崎刈羽でも働けると指導しています ・ また子供達も避難指示区域20Kmの圏外の計画的避難区域でも20ミリシーベルトを超えており、福島市、郡山市でも年間10〜20ミリシーベルトになっていようといわれています     
■原発設計技術者の視点 :  (国学院大学講師:後藤政志氏談)  
あいまいだった過酷事故対策・・・ 格納容器は放射性物質を閉じ込めるもので、排気ガスを外に出すなどは考えられないととしていた ・ 日本では過酷事故対策として格納容器が破裂しないようにするため、排気弁とを設けたけれど、その排気の容量が極めて大きく、フィルタは大きくなりすぎるとのことで、フィルタは無視されてしまっている        
   事故放射能排出ルート不明・ 炉心からフィルタなしに排出したら大変なことになる ・ 2号機はサプレッションプール、圧力容器の下部のタンクの亀裂からでたのであろうとみられている    
               
■東電保安院などの問題点 :  (名古屋大学教授:黒田光太郎氏談)           
原子力安全・保安院とは・・・・・・・ 現在日本の原子力安全規制体制は、経産省の下に原子力安全・保安院があり、内閣府には原子力安全委員会があります ・ また独立行政法人の原子力安全基盤機構、そして原子力発電所を所有している事業者があります ・ 原子力安全・保安院には800人の職員がいます  
   仕事と管轄化の施設・・・・・・ 原子力安全分野では、厳正な安全審査等の実施、原子力事業者に対する検査等の実施などを行っています ・ 2002年にあった東京電力の様々なデータ隠しあり、このとき再スタートしました ・ 保安院が安全規制を行う施設には、六ヶ所村の再処理工場、高速増殖炉「もんじゅ、高レベル放射性廃棄物最終処分施設などが入ります  
機能不全の原子力安全委員会・・ 事故以来長い間斑目委員長は会見に出てきませんでした ・ 原子力安全委員会は専門家が5人であと100人が事務員です ・ その委員が事故後一か月しないと現地にいかなかったように、全く機能不全を起こしています ・ 「保安院から指示をしてほしい」だの、「保安院との連携がうまくいっていなかった」だのと委員長から発言がでるなど監督者発言する用をたさない組織であった     
電力会社に委ねられたきた安全・ 1992年国は原子力のアクシデントマネジメントを国がせず、電力会社がすることとし、指示をしました ・ 英国の新聞「インディペンデント」は「東電は事実を伝えるという点で堕落の歴史がある」と報じたことがあります ・ 40年前福島原発時設計時に15mの津波も示唆しているが、事故後の会見では「想定外の津波であった」との発言が東電から出されている
  不正を踏まえ新潟方式・・・・ 福島、柏崎刈場の13基で1980年代後半から1990年代にかけて自主点検記録に損傷機器を隠すことが29件あったため、新潟県では新潟方式と呼ばれる「安全管理の技術委員会」が設立されました ・ 国や東電にデータを要求できる立場で、国とは違った立場での議論をしています  

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