放射能の初歩の初歩の初歩 (原発事故No.2) 
              

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放射能とは、飛散状況   原発事故影響 放射能に当たったら
放射線の種類 単位呼び方
自然界で受けている放射線
放射線種類と健康への影響
 . 原発事故による有害度一覧
放射線の飛散状況
チェルノブイリの場合
 . 一般的な注意
放射能源に近い人への注意
放射線量と発がん・寿命延命
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     原発の初歩の初歩の初歩 (No.1) 
     原発事故Q&A 収束工程表 (No.3) 

  放射能とは、放射能飛散状況     
■放射線と放射能 :   (「知っていますか放射線の利用」丸善、岩崎民子著より)
レントゲンとキューリー夫人・・・・・・・・ 「放射線」と「放射能」この二つの言葉は大変紛らわしい ・ 「レントゲンがX線を発見、ベクレルがを放射能を発見した」 ・ 電離放射線はX線、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線などで物質を通過するさい電離作用、写真作用、蛍光作用があるという特徴をもっている  
   放射性物質を放射能?・・・・・・・ 一方、放射能は物質から自発的に放射線を放出する能力をいうのであって、このような性質をもつ物質を「放射性物質」といっている ・ この放射性物質を「放射能」といってしまっていることが多い
   福島第一原発は放射能漏れ・・ 「放射線漏れ事故」ならば、遮へい物をおいたり、距離をおいたり(距離が2倍になればその強さは1/4に減少する)、放射線を出すもとをとめることで対処できる ・ しかし今回の福島第一原発の事故は「放射能漏れ事故」である ・ 原子炉に溜まっていた放射性物質が大気中へ或いは海中へ放出され広がっている   
   放射線被爆で甲状腺がん・・・・ チェルノブイリでの事故では、放射性物質が原子炉周辺の人々や環境に大きな影響を与えた ・ 放射性物質は半減期という寿命をもっており、ヨウ素131では放射能の強さが8日で半減し、ほぼ1ヶ月でほぼ1/16になるが、セシウム137となると半減期が30年で、このようなものが体内に取り込まれると、体内からの放射線を受け続けることになる ・ チェルノブイリでは大量に放射性ヨウ素が周囲環境に出てしまい、呼吸や牛乳などから大量に体内に取り込んでしまった人たちがいた ・ ヨウ素は甲状腺に集まる性質があり、その結果周辺地域で小児に甲状腺がんが多発したことはよく知られる         
       
■放射線に関する単位 と 放射線の種類 :  (同上より)          
放射能: (ベクレル)・・・・・・・・・・・・・ <Bq> ・ 1秒間に壊変する原子核の数 ・ 放射能の単位
吸収線量: (グレイ)・・・・・・・・・・・・・ <Gy> ・ 重量あたりの吸収エネルギー量で表した放射線の線量 ・ 物や身体にどれだけ吸収されたかの単位    
実効線量: (シーベルト)・・・・・・・・・ <Sv> ・ 重量あたりの吸収エネルギー量(Gy)に、放射線の種類による生体への影響の程度の違いを考慮した係数を掛けて求めた放射線の線量
1シーベルトとは、X線やベータ線1グレイで人体に起こる損傷と同じくらいの損傷を引き起こす放射線の量 ・ 人体がX線やガンマ線を1グレイだけ被ばくしたら1シーベルトなのだが、同じ1グレイの被ばくをアルファ線で受けると20倍に効く ・ 従ってアルファ線の1グレイを20シーベルトとする ・ それほどにアルファ線は有害というわけ
  係数
     X線、ベータ線、ガンマ線・・・・・ 1
     アルファ線・・・・・・・・・・・・・・・ 20
     中性子線・・・・・・・・・・・・・・5〜20
身体への影響の値 
放射線の種類(アルファ線ほか)・・・・ アルファ線(空気より軽いガスヘリウムガスの原子核) ・ ベータ線(電子そのもの) ・ 中性子線(原子核を構成しているもののひとつ) ・ X線(短い波長の電磁波) ・ ガンマ線(原子核の持っているエネルギーが過剰になると、その過剰なエネルギーを電磁波として放出します) ・ X線とガンマ線は鉛でないと遮蔽できません 
   アルファ線は有害度・・・・・・・・・ 放射線は人体の細胞を破壊する力をもっています ・ アルファ線は人体の皮膚をとおりぬけることは出来ませんが、人体の内部からならたやすく害を与えてきます ・ 放射線をあびると小児白血病などのがんの原因になったり、生殖器官は放射線の害を受けやすく、生まれてくる子供に障害が生じたりします    
   ベータ線とガンマ線・・・・・・・・・・ ベータ線は皮膚を通り抜け、皮膚を破壊することがあります ・ ベータ線は普通日焼けするときにも含まれている放射線ですが、皮膚を通り抜けると皮膚がんの原因にもなります ・ ガンマ線は人体の中を通過する間に、次々と細胞を破壊します ・ 再び破壊された細胞が増殖を始めるとこれががんの原因となるのです       
   人体で最も影響を受けるのは・・ 最も影響を受けるのは生殖器官 ・ 次いで肺、骨髄、甲状腺です ・ 少ないですが胃、肝臓、脳にも影響あります       
   
■自然界でも可也の放射能受けている : (同上より)  
日本での平均 (連続しての線量)・・ 宇宙線(0.27mSv)+大地放射線(0.32mSv)+食物摂取(0.41mSv)+ラドン吸入(0.45mSv)=1.45mSv(自然放射線は1.45/年であるが ・食べ物を除くところでの放射線量は1mSvと覚えるとよい) ・ 世界最大の自然放射線は10mSv ・ 世界平均自然放射線は2.4mSv ・ 年間これだけの放射線量を人々は受け続けている ・ 10mSvといったところもあるが、健康に影響を与えるような線量ではない ・ また宇宙線飛行士は一日で1mSv、われわれ地上にいるものの365倍以上の放射線量を受けているが問題になっていない     
医療X線検査 (一時的突発線量)・・ CT検査が(7.9mSv)、胸部レントゲンが(0.06mSv)であるので、胸部レントゲンなどを受けると、4年分以上の線量を一時に受けることになる ・ 体の中で最も敏感だといわれる白血球の減少が認められる線量は500mSv(自然放射線量の500年分)、これを1度に受けたときとされる     
どれ位の量を受けても大丈夫か・・・・ 原爆被爆者12万人の健康調査結果によれば、被爆後数年して白血病が、その他のがんが10年後から出ている ・ そのデータから100mSv以下であれば一時に受けたとしても大丈夫だとみられている     
    自然界の放射線としては、宇宙からのもの0.36ミリシーベルト、大地岩盤からのもの0.41ミリシーベルト、空気中からは1.3ミリシーベルト、食物から摂取する放射線0.41ミリシーベルト、現代人も原始人もこれらの和2.4ミリシーベルトを受け続けてきました ・ 関西は花崗岩なので関東よりも高めになっています      
天然放射線も有害度は同じ・・・・・・・ 天然に存在する放射性カリウムおよび人工の放射性核種コバルト60は ベータ線とガンマ線放出 ・ 天然放射性核種ラジウムと人工放射能性核種プルトニウムはアルファ線とガンマ線を放出する       
   
■原発事故による放射線有害度一覧 :       
     
   上記グラフの見方 (右サイド)・・ チェルノブイリ10ミリシーベルト/年の土地でがんが発生している ・ これを365日、24時間で除して時間当たり1.14マイクロシーベルトを算出し、1つの危険域目安とした ・ 福島浪江・飯館はそれ以上に危険であることが分る ・ 原発に近い高萩、ひたちなかでもよろしくない ・ 一般人平均の値(上グラフでの0.12マイクロ)は、空気中だけの自然放射線量を1ミリシーベルト/年として、これを時間当たりに換算し、比較用に組み上げた概算値です (筆者所見)    
   上記グラフの見方 (左サイド)・・ 一方グラフの左側のミリシーベルトの高い部分の影響であるが、5000ミリシーベルトが致死のラインで、原発周辺はそれに近くになっている ・ ニューヨーク時間で9.5マイクロシーベルトと書いたものは、ニューヨーク航空機往復で0.19ミリシーベルトを20時間で除したものである ・ ときどきならば10マイクロシーベルト、1年に1〜2回なら1ミリシーベルト位までOKと、このグラフから見てとれる (筆者所見) ・ グラフ左側は1回被ばくの線量(mSv)表示、グラフの右側は線量率(mSv/h)の表示ですので、グラフ上では左表示値を右表示値よりもより大きくあると考えてください   
   屋内退避、避難の線量・・・・・・・ 10〜50ミリシーベルトでは屋内退避を勧告している(屋内に入ると1/4〜1/10へと影響度は下がる) ・ 現地対策本部から指示があれば、コンクリート建屋への退避も必要となる ・ 50ミリシーベルトを超えた場合には、コンクリート建屋内への退避が必須となっている  退避勧告(文部科学省)      
         
■放射能飛散どこまで :  (日本経済新聞3月16日より)      
文科省が日に2回各地放射線量公表 文科省公表データ ・ 自然界では温泉地などで周辺より高い放射線量が計測される ・ こうした自然放射線の観測網を活用している  
   風向きで飛散が変わる・・・・・・・・ 放射性物質でキセノンやクリプトンなどの放射性物質は気体のまま大気中をただよう ・ ヨードなどは大気中のチリや微粒子にくっついて飛散する
   東京など遠い地域は問題ない・ 大気中の放射性物質の濃度は距離が離れると急速に下がる ・ 現状では首都圏への影響は全くない  
20Km圏内の放射線量・・・・・・・・・・・ 4月21日20Km圏内の放射線量の値が発表された(朝日新聞4月22日より) ・ 3Km圏内は50〜100ミリシーベルト/年、3〜10Km圏内は20〜50ミリシーベルト、10〜20Km圏内は南部は20ミリシーベルト/年以下であるが、北部は20〜30ミリシーベルトである ・ チェルノブイリでがん患者の出た10〜20ミリシーベルト/年の域を超えている
   原子炉周辺の放射線量・・・・・・ 1号機原子炉建屋内で270ミリシーベルト/時(米国製遠隔操作ロボットによる計測)、3号機で57ミリシーベルト/時であって(朝日新聞4月19日より)、上記グラフより若干下がってきているものの、依然瞬時に受けては臨床要の値になっている   
   詳しい情報の公開が待たれる・・ 計測装置SPEEDIは原発の煙突につけた測定装置で、どういう種類の放射性物質がどれくらい漏れたかを測定する ・ それに風向きや地形などのデータを加えて15分ほどの計算で結果を出す ・ SPEEDIによる放射能分布試算(3月21日時点)    
               
■チェルノブイリの場合 :             
チェルノブイリの事故・・・・・・・・・・・・・ 1986年4月26日、今から25年前、ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所の4号炉で、爆発事故が起こった ・ この爆発で原子炉が破壊され火災が発生した ・ その火災を消火するため、ヘリコプターから原子炉の炉心をめがけ、総計5000トンの砂や鉛などが投下され、14日後にようやく収まった   
対処のまずさで多数の死者が・・・・・・ 事故時ゴルバチョフ政権であったが、付近の住民に普段どおりに生活を続けるように指示していた ・ このため、被爆原因とみられるがんによる死者は4000人にもなったと言われている ・ またそのとき放射線を受けた作業員33人(政府発表数値)も死亡している ・ また更に被災者支援組織ウクライナ・チェルノブイリ連合によると、過去25年間に事故後の復旧活動に参加した14万人死亡しているが、その放射能の影響度は定かではない(Wikipediaデータでは、数百人〜数十万人死亡で定かではない) ・ 事故から最初の1年でこの区域のクリーンアップ労働者は21万1000人と推定され、その労働者の平均線量は165ミリシーベルトと推定されている 
事故による発生した放射性物質 事故直後においては健康への影響は主に半減期8日の放射性ヨウ素によるものだった ・ 今日では半減期が30年のストロンチウム90とセシウム137による土壌汚染が問題になっている ・ この区域の植物の中のセシウムのレベルは上がり続けている  (Wikipediaより)   
事故対策の石棺作業での問題・・・・・ 石棺作業で数名の作業員が死亡したが、その死体の搬出はできていない ・ 石棺は応急的措置であり、大半はロボットで行ったため老朽化が著しく、万一崩壊した場合には放射能が飛散するリスクがある ・ 石棺の耐用年数は30年といわれており、再度放射能封じ込めの補修作業が必要となる ・ また年間4000KLに近い雨水が石棺の中に流れ込んでおり、原子炉内部を通って周辺の土壌に拡散している ・ 石棺のコンクリートや鉄筋もその湿気で腐食し続けている         
現地は野生の宝庫となっている・・     事故後15年しての2010年12月に、ウクライナ政府はチェルノブイリ原発付近への立ち入りを許可した ・ 本来は発電所から30Km以内は立ち入り禁止であった ・ 放射線レベルが低下したことによる立ち入り許可であるが、無人の土地となった現地一帯は、野生動物の住処となっている       
            
    
  放射能に当たったら 
    
一般的な注意 :   (日経3月16日より)          
放射線源に近づかない・・・・・・・・・・・ 距離が離れるほど放射線量は弱まるので、放射線源には近づかない   
放射性物質を浴びたら・・・・・・・・・・・ 服を脱いで洗浄する ・ 中性洗剤でふき取る 
うがい薬やヨードチンキは飲まない・・  「うがい薬を飲むとよい」となどの俗説があるが、間違いで体に害を及ぼすから、絶対にしてはいけない ・ 雨を避ける ・ 15分以内に除染する (放射線量が高い地域の人たちへの注意、首都圏では不要)    
       
■放射線源に近い人への注意 :          
濡れタオルでマスク・・・・・・・・・・・・・ 屋外では放射性物質を吸い込まないように、濡れタオルで口と鼻をふさぎ、長袖の服や帽子で体全体を守る ・ 雨が降った場合は放射性物質が含まれている可能性があるため、屋内に入るなどして当たらないようにする
屋内では換気扇を使わない・・・・・・・ 屋内に避難したら、放射線物質が入り込まないように窓、ドアを閉めて換気扇とエアコンも切る ・ 放射線の通しにくいコンクリートの建物に入ればより確実である            
放射性物質が付着した場合・・・・・・・ 着衣を脱げば約9割の放射性物質は除去できるとされ、特に15分以内に除去作業をすれば被爆のリスクを抑えることが可能であるとされる ・ そして衣服を脱ぎ、水に濡らした布で肌を拭けばよりよい ・ そして濡れガーゼを使い中性洗剤、オレンジオイルなどで拭き取りたい ・ 軟らかいブラッシングも効果的 ・ 髪の毛についたものはシャンプーで洗い流す      
薬剤等は専門家の指示で・・・・・・・・・ 体内被曝を防ぐ薬として「安定ヨウ素剤があるが、医師や自治体から指示を受けた時だけに使用するように ・ 落ち着いた避難には政府からの指示で動くこと   
                   
放射線量と発がん :          
弱い放射能もDNAに傷をつける・・・ 発がんのメカニズムについてはまだよく分かっていないが ・ 遺伝子を構成しているDNAに放射線が傷をつける ・ この傷をつける放射線線量はかなり低い値でも起きるとされている ・ DNAに傷をもった細胞はその傷がどのような種類か、どこの場所かなどで影響を受けたり受けなかったりする ・ 突然変異したり、がん細胞になったり、死亡に至ったりする ・ DNAについた傷は大方修復され、元通り正常になるが、ごく一部修復に誤りがあったり、修復できなかった傷が突然変異を起こす ・ 突然変異した細胞ががん化したりする
   たばこ・食事の方ががんに心配・ このようにがん化した細胞は健康な身体にも潜んでいる ・ ときには分裂し小さな塊になったりするが、抑止力が働きがんにはならない ・ その抑止力を突破すると増殖を繰り返し、目に見えるようながんになる ・ 最初はがん化した1個の細胞から始まるが、かんになるまでには長い長い潜伏期間がかかる ・ がん細胞は遺伝子に1個や2個の突然変異が起こったからといってがんになるのではなく、いくつものがん遺伝子とがん抑制遺伝子に突然変異が起こることで生じる ・ この遺伝子を変化さす原因と関連のある因子としては、食事、たばこがある ・ 影響の割合はそれぞれにつき30%以上になるが、100mSvの放射線被爆が原因となる確率はそれらよりもずっと低く1%にもならない
ホルミシス効果(低線量放射線効果) 最近では少ない放射線線量を受けたときには、ホルミシス効果といってかえって健康にメリットがある ・ 低放射線量の環境で飼育した方が寿命が長くなるとの実験データが発表されている ・ 体に良いというのは説であり、学問的には必ずしも証明されていない ・  (財団法人)電力中央研究所・放射線安全研究センターの報告        
   微量な放射線量で実績あり・・・・ 5〜10センチグレイで白血球が高まるという研究結果が出されている ・ 5ミリシーベルトを短時間受ける程度です  
   わが国には放射能温泉多数・・・ 玉川温泉(秋田)、増富鉱泉(山梨)、三朝温泉(鳥取)ほかですが、ラドン温泉、ラジウム温泉です ・ 温泉は地下水がマグマによって熱せられ、それでウラン系列の放射性物質(例えば、ラジウムやラドン)が含まれている         
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