原発にどう道筋をつけるか ・ 識者の提言 
                ( 日本経済新聞より )

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原発にどう道筋つける   哲学者の意見
日本経団連会長談
発足する原子力安全庁について
経産省は存続あきらめていない
汚染土の中間貯蔵が難題
 . 原発事故は文明災害である
脱原発は歴史の必然である
日本の文明哲学を作るとき
 . 短期的には原発ないと経済維持不可能
日本は島国なので、自国エネルギー要
政府は将来構想を考え打ち出す要あり
     特集記事のバックナンバー:       掲示板 (チョット関連の話題ありませんか) 


  原発にどう道筋をつけるか    (日本経済新聞1月1日より)  
■2012年は原子力正念場の年 :   
原子力安全庁が発足する・・・・・・ 4月に環境省の外局として発足する予定の原子力安全庁(人員500人程度)は現在の原子力安全保安院よりも100人多くなる ・ 万一事故になれば、環境庁長官が首相を本部長とする事務局長となり、官邸と連絡を密にし、対応にあたるとするもの
   日本の原子力の将来を監督・ 新しい組織は「今の体制は国民からの信頼を失ってしまった」との反省にたちゼロベースから見直しをすすめていく ・ 保安院は経産省の傘下にあったが、海外では規制機関は推進側と分離するのが一般的 ・ もう一つ問題であったのは、保安院と原子力委員会とがダブルチェック体制といいながら同じことを2度繰り返すだけで、責任をあいまいにしていた ・ これらを一体化し、環境庁におき、監視していく体制にする
安全神話思いこみの反省も要・・・ 産学官体制で築き上げてきた「安全神話」にも問題があった ・ 耐震設計審査指針は地震に偏り、津波の記述は一文だけ、東電も08年に高さ10mの津波の可能性を試算していながら具体的な対策に乗り出さなかった ・ 原発事故発生時にもミスがあった ・ 水素爆発の公表が遅れ、「被覆管の損傷」「ペレットの溶融」と炉心溶融の説明が目まぐるしく変わった   
               
■原発全機停止が目前に :          
再稼働ストレステストに疑問符・・・ 全国54基の原発のうち稼働しているのは6基だけ ・ 政府は地元の安心を得ようとストレステスト(耐性調査)を進めるが、立地自治体の首長の多くは再稼働に慎重な姿勢を崩さない ・ 再稼働の最初の関門がストレステスト(地震や津波に原発がどこまで耐えられるかをコンピュータで解析する体力認定)があるが、これだけでは不十分、福島第一原発事故の知見を反映した新たな安全基準づくりが必要と指摘されている     
   地元自治体の同意は難しい・ 地元自治体の同意は高いハードルになっている ・ 周辺自治体や隣接県の意向も無視できず、また九電であった「やらせ」もブレーキになっている ・ プルサーマルの説明会で電力会社が動員をかけたり、質問を依頼するなどしており、電力会社の失墜はますます再稼働を遅らすことになっている      
経産省は早期稼働諦めていない 原発0では電力会社は赤字となり、東電の損害賠償や経営再建も行き詰る恐れがある ・ 経産省は早期の再稼働をあきらめていない ・ 伊方3号機を2月下旬に始まる県議会で地ならしをし、春に1基でも動かしておけば、他原発の夏場の再稼働にもつながると読んでいる   
       
■汚染土の中間貯蔵が難題 :   
中間貯蔵施設をどこに作るか・・・ 政府は1月以降、福島県での除染を本格化するとしている ・ 放射線量をどの程度下げられるかが、避難住民の帰還のカギを握る ・ 中間貯蔵施設をどこに作るかも2012年の大きな焦点        
   ・・・・・・・・ 貯蔵期間は最長30年、規模は3〜5平方キロメートルとけた外れに大きい ・ 12年度中に設置場所を決められるかは予断を許さない ・ 中間貯蔵施設の運用が始まる2015年1月までは、各自治体の仮置き場に汚染土を運ぶことになる ・ 中間貯蔵施設は13年3月までに立地場所を選定し、14年7月に本体工事にい着工する ・ 周囲住民の反対があり、除染効果も明確でなく難航しそう    
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  原発存続についての識者雑感    (日本経済新聞1月1日より)  
■原発事故を哲学から反省する :   (梅原猛談 東日本大震災復興構想会議特別顧問・京都大学哲学科卒)           
原発事故で考えること・・・・・・・・・ フランスの哲学者デカルトが「科学が発展すれば、人間は自然を奴隷のように支配する」という彼の哲学が人類の思想になっている ・ ところが今回の原発事故をみて、すぐ「文明災害」という言葉が浮かんだ ・ 世界の文明国は多かれ少なかれ原発に頼っている、これによる事故は天災、人災でなく文明災といえよう  
事故は変わる機会を与えた・・・ 「哲学が今や大きく揺らいでいる ・ 文明はそれを支えるエネルギーが問題 ・ 20世紀になって原子力が発見されると、温暖化防止にも役立ち人生の救世主のように思われたけれど、結果として悪魔のエネルギーであった ・ 一部の人は原発容認をいっているけれど、脱原発は歴史の必然です」 
脱原発をすんなりできるか?・・・・ 「今日本の原発はほとんどが停止しているが、それでも何とかできる ・ 電力消費を20%抑えれば、原発なしでいける ・ 政府は核融合に大変な予算を出したが、それを自然エネルギーに向ければいいのですよ    
文明や哲学はどう変わるか・・・・・・ 「やはり自然との共存との思想に帰らなければならない ・ 人間は自然を征服できるという西洋の思想に対し、日本には動物はもちろん植物も鉱物もみな仏だという草木国土悉皆(しっかい)成仏」の思想がある ・ 日本は国土の3分の2が森で、神社には必ず森を残した ・ トインビーが駆って科学技術の文明を各国取り入れながら、各国独自の伝統的原理に基づいて新しい文明を作るであろうといっていた ・ それから40年やっとその解が分かってきた ・ 日本の文明、哲学をつくるとき」         
       
■原発ゼロが夢・短期的には必要 :   (米倉弘昌談 経団連会長)    
経団連は再稼働を求める・・・・・ 短期的には原発がないと不可能だと思う ・ 電気を使わない経済成長はこの先20年かけても難しい ・ 今後日本は財政健全化、持続可能な社会保障制度のため、10年先まで実質2%、名目3%ほどの経済成長が必要で、そのためにはエネルギーをどう確保していくか、非常に重要なことである
中長期で原発の位置づけは・・・・ 位置づけは変わる ・ 今の再生エネルギーは水力を除けばコストのかかる不安定な電源 ・ これをどうコスト的、質的に高めるか、いろいろと考える必要がある ・ 液化天然ガス(LNG)をどんどん輸入しよう、サハリンのガスを利用しようといっても、本当にロシアを信用できるのか、日本は島国なので自分で作ることも考えておかなければ危険である            
再生可能エネルギーでは不足?・ 「住友化学でも必死になってやっている ・ 薄幕の太陽光発電だが、ようやく発電効率10%まで上がったが、政府もいろいろと施策をうてば変わると思う ・ 理想をいえばサハラ砂漠に100平方キロメートルの太陽光発電設備をおいて、そこから超伝導の電線で配電すれば相当なことができるという人もいる ・ 国の安全保障の面もあるので難しい      
節電や省エネも進めなければ・・・ 日本はGDPで世界の8%も占めているけれど、二酸化炭素の排出量は世界の4% ・ エネルギーを非常にうまく使っている ・ 二酸化炭素排出量を更に2%にまで下げるには、知識集約型産業へシフトする必要がある ・ すぐに真似をされるのが知識集約型産業なので、ものづくりを大切にしながら、そちらへシフトしていく必要があろう    
政府エネルギー基本法を見直す・ 経済成長をどうみて、どういうエネルギーを組み合わせて行くのか、どういう方向に国を持って行くのか、よく考えなければならぬときである ・ 将来構想を打ち出す要あり         
                   
■リンク集 :          
脱原発関連の意見・・・・・・・・・・・・ 脱原発福島ネットワーク ・ 脱原発リンク集 ・ 反原発リンク集 ・ 脱原発反原発リンク
原発必要とする意見・・・・・・・・・・・ 脱原発を叫ぶ前によくかんがえよ ・ 原発存続のための一提言