電気料金をきめる総括原価方式は疑問の疑問 
                ( 朝日新聞7月6日ほか )

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原発関連費が電気料金へ   発電所を作り続ける
巨額の広告費と給料
廃炉の費用が含まれる
賠償額も含まれる
六ヶ所村の再処理費用も
 . 電力供給能力に余裕あり
なのみ発電所作り続ける
作ると資産、もうけが上がる
 . 電力会社は銀行以上
減額後も大企業並み
競争ないのに巨額宣伝費
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■原発関連費用での疑問 :   
福島原発事故関連の費用 東電は電気料金値上げの理由として、「福島第一原発の安定を保てなければ、電気事業が成り立たない・福島ほかの原発も冷温停止状態を維持するのに必要な経費を入れる必要がある」と説明する ・ 政府は「脱原発依存」を進める方針だが、それには廃炉費用が家庭向け料金に上乗せされるおそれがある
   資産の3%をもうけ・・・ 値上げの原価には、発電所や送電網の資産の3%が東電のもうけ(事業報酬)として上乗せされる ・ 有識者会議では著しく稼働率の低い資産はこの資産から省くよう求め、福島関連原発は外した ・ しかしそれらの冷却関連費用は上記どおり含めている
原発事故の賠償の仕組み 米国には巨大事故が起きた後で電力会社がお金を出し合う仕組みがある ・ 日本の場合損害額5兆円をすべて家庭電気料金に原価として計上するとすれば、月300KwHの一般家庭で約540円も上がることになる     
   賠償金を国民負担へ・ 原発事故の賠償は、原子力損害賠償支援法をつくり、支援機構が賠償金額を貸し出す ・ 支援機構の負担金は、米国の仕組みに近いが、東電ほかの電力会社が「一般負担金」として返していく ・ その一般負担金は各電力会社が電気料金に含めということなので、利用者国民がかぶることになる     
核燃料の処理の費用も・・・ 東京電力の値上げ申請では核燃料費が年間110億円申請されている ・ そしてこれとは別に「原子力バックエンド費用」668億円も含まれている ・ バックエンドとは核燃料の後始末のこと
   止まったまま六ヶ所村 政府は使用済み核燃料を再び使えるようにと考え、青森県六ケ所村に再処理工場を建てる予定だが、ここは東電など10電力会社が中心となって設立運営されている ・ しかし2006年に試運転を開始したが、装置の不具合があり08年末試運転をとめ、そのままになっている ・ これらの費用もバックエンド費用として含まれる     
               
■発電所を作り続けるのは何故 :          
供給電力は需要以上ある・ 2010年度、国内すべての発電所が発電できる電力は約23憶万キロワット ・ これに対し、この年猛暑だったが使われた電力は18憶万キロワットだった     
   に拘らず供給増加中・ 電力業界は供給電力の増設理由として、ピーク時に必要な電力が10年度から10年間は0.5〜1.5%のペースで伸び続ける見通しだとしている      
   実際は余っているのに 将来の見通しは外れており、発電所は使われず無駄になっても、電気料金から回収できるとして建設され続けている ・ 「総括原価方式」で上乗せできていけるからである ・ 政府が利用者から税金をとって豊かな「特定財源」を確保し、無駄な道路や空港をつくり続けてきたのと似ている   
       
■巨額の広告費と給料 :   
電力業界の給料は高い・・
業種 平均年収 平均年齢 勤続年数
電力 677 40.2 19.8
ガス 634 37.4 16,2
製造業 558 40.6 16.9
銀行 615 38.1 13.9
大企業 532 40.4 14.2
中小企業 434 41.3 11.9
国家公務員 634 42.3 20.8
小売業 418 38.8 12.5
福祉・介護 353 42.0 7.0
        
   燃料費の次に高い・・ 電気料金の1割前後をしめている ・ 事故後東京電力は、社員の給料を管理職で25%、一般職で20%減らした ・ ボーナスを含む年収が556万円となった ・ これでも大企業(1000人以上)の平均年収をわずかだが上回っている   
   一般企業並み??・・ 政府は原発事故をうけて、電気料金のあり方を話し合う有識者会議を立ち上げた ・ その報告書では一般的な企業の給料にとどめるべきとしている ・ OBを含む、福利厚生なども大幅に減らしたが、さらに減額を求める声が強い   
競争ないのに巨額広告費・ テレビ放送費、PR館費、発電所見学会などの広告費を電力会社では普及開発関係費としているが、これが10電力会社の平均104億円に対し、東京電力は293億円も使っている ・ トヨタ自動車の499億円に近い  
   広告単価は割高OK・ 某広告会社の社員は言う「東京電力は総括原価方式に守られてコストの意識がとぼしく、値切ろうともしない ・ 電力の広告単価は普通企業の5割増しだ」  
   新ルールで大幅カット 経産省はこの春、値上げへの新ルールを作り、公益目的の情報提供以外の広告宣伝費を原価に含めるのを認めないことにしている     
              
■東電値上げは9月以降へ :           
家庭電気料金8〜9%UP・ 経産省は7月5日、東京電力の家庭向け電気料金値上げ時期を9月移行へ延ばす方向で検討に入った ・ 値上げ幅も8〜9%に下げさせた上で認可する  
   企業向けも減額へ・・・ 4月から契約更新時に上げている企業向け電気料金の値上げ幅も今の16.4%から1%前後減額する検討に入った ・ 4月分にさかのぼって取りすぎた分を返すとしている